東京都中央区様
パスポート対応の真贋判定システム導入で個人情報漏洩リスクを低減!
東京都中央区様(以下、中央区様)の窓口では、本人になりすました第三者からの虚偽の届出や諸証明書請求を防止するために本人確認を実施しています。2010年11月からカードサイズの身分証明書の真贋判定ができるDNP本人確認マルチカードスキャナを活用しておりましたが、2018年5月よりパスポートの真贋判定にも対応するID確認システムPROを導入しました。カードサイズの身分証明書だけでなくパスポート真贋判定もシステム化することで本人確認業務を強化し、本人になりすました虚偽の届出/申告による個人情報漏洩リスクを低減しています。導入当時の課題や現在の運用方法と導入効果について、区民部区民生活課住民記録係の須藤様にインタビュー形式でお話をうかがいました。(2023年6月23日取材)
戸籍窓口では本人確認が必須
他人が本人になりすまして勝手に虚偽の婚姻届や養子縁組届を提出し、戸籍に真実でない記載がされていたという事態は珍しくなく、相続の際に問題になることがあります。こういった問題を防ぐため2008年5月に戸籍法が改正され、戸籍窓口での本人確認が義務化されました。
戸籍法で戸籍届出の際の本人確認が義務化
戸籍に真実でない記載がされないようにするため、届出の際の本人確認は必須です。
本人確認は、運転免許証やマイナンバーカード、パスポートなど顔写真付き身分証明書の提示を受ける方法によって行います。虚偽の申告/請求など不正な手段で戸籍証明書の交付を受けた者には、刑罰(30万円以下の罰金)が科せられます。
参考:法務省発行 戸籍届出の際の本人確認に関するパンフレット
中央区 須藤様:
中央区は、2008年5月の法改正の本人確認義務化に伴い、手続きの際は必ず身分証明書を用いて本人確認を実施しています。
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中央区様の本人確認が必要な場面
- 戸籍の届出(婚姻届、離婚届、養子縁組届、養子離縁届、認知届)
- 戸籍謄本や戸籍抄本の取得(戸籍関係証明の交付申請)
- 住所変更の手続き(住民異動届)
- 住民票の取得(住民票関連証明等の交付申請)
- 印鑑登録に関する手続き
導入前の課題であったパスポートの目視確認
中央区様は、戸籍法改正から約2年後の2010年11月からDNP本人確認マルチカードスキャナを活用していました。
中央区 須藤様:
区民生活課の窓口で元々活用していたDNP本人確認マルチカードスキャナでは、カードサイズの身分証明書の真贋判定しか対応しておらず、パスポートの真贋判定ができませんでした。そのため、パスポートは目視で確認する必要があり、目視確認ではICチップの偽装まで確認することが困難でした。
- DNP本人確認マルチカードスキャナ
運転免許証や在留カードをはじめとするカード規格の身分証明書の真贋判定が可能なシステムです。(提供終了)
- ID確認システムPRO
フラットベットタイプのスキャナを採用していますので、カード規格の身分証明書はもちろん、カード規格でないパスポートの真贋判定もサポートします。
中央区 須藤様:
パスポートの目視確認をシステム化しようと考えた背景には、海外在住者の身分証明書の大多数をパスポートが占めていたことがあります。住民票を抜いて海外転出する場合はマイナンバーカードを市区町村へ返納しなければなりません。そのため、海外在住者は身分証明書としてパスポートを提示する方が多いです。このように提示回数の多いパスポートの確認が目視では、他の身分証明書に比べ偽造パスポートの提示でのなりすましリスクが高いと考え、システムによる確認を検討し始めました。
DNPの営業の方にID確認システムPROを紹介いただき、導入に至りました。システム選定時は他社製品も検討しましたが、1台でカード規格外のパスポートにも対応できる真贋判定システムは唯一ID確認システムPROだけでした。
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海外転出時にはマイナンバーカードを市区町村へ返納
海外に1年以上出張等で引っ越しする時は、転出届を自治体へ提出して日本にある住民票を削除する必要があります。住民票が削除されると、住民票が日本にあることを前提に生成されたマイナンバー(個人番号)は失効してしまいます。所持していたマイナンバーカードも無効となります。しかし、帰国後の再度日本へ転入する際に、転入届を自治体へ提出して住民票を復活させるとマイナンバーも復活します。マイナンバーカードについては手続きを行うことで再交付されます。
参考:中央区ホームページ 転出届:中央区から国外へ住所を変更をするとき
本人確認時のパスポート真贋判定のシステム化で個人情報漏洩リスクを低減
DNP 中島:
ID確認システムPROの導入効果について教えてください。
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中央区 須藤様:
パスポートの券面情報及びICチップの確認をシステム化することでパスポート偽造によるなりすましの抜け道を塞ぐことができていると思います。パスポートとその他の身分証明書の真贋判定もID確認システムPROを活用することで本人確認業務は強化され、本人になりすました虚偽の届出/申告による個人情報漏洩リスク低減を実現できています。職員は表示された判定結果に従って区民に案内することができているので職員の精神的負担も軽くなり、安心して手続きに進めるようになったのではないかと思います。
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中央区様のID確認システムPROを活用した本人確認のイメージ
中央区 須藤様:
例えば印鑑登録の場合、まず受付の担当者がID確認システムPROで身分証明書の真贋判定を行います。真贋判定後、エビデンスを出力し、別の印鑑登録の担当者が出力したエビデンスとご本人様に記入いただいた申請書の個人情報を見合わせます。内容に問題がないことを確認できたら、エビデンスと申請書をホッチキスで留めて保管しています。このエビデンスにスキャンした身分証明書画像と真贋判定結果が記載されているので、住民の身分証明書をずっと預かったままにせずに済み、なおかつ区民にも毎回提示してもらう手間がなくなっております。
エビデンス機能とは
本人確認で提示された身分証明書をID確認システムPROで真贋判定後、「エビデンス作成」のボタンを押して「印刷」ボタンを押すだけで真贋判定結果とスキャン画像が記載されたエビデンスを作成できるので、身分証明書のコピーを取り直す手間が削減できます。
※紙で印刷する場合は、A4サイズとなります。
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取材にご協力いただいた中央区様の情報
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- 人口:175,555人(2023年8月1日現在)
- ID確認システムPROの導入状況:2018年5月 5台(本庁2台、支所3台)
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