2015年12月7日

プラスチックカードに箔押し加工できるリップマン型ホログラムを開発

高セキュリティが求められる身分証や、高級感が求められる会員証などに向けて提供

大日本印刷株式会社(本社:東京 社長:北島義俊 資本金:1,144億円 以下:DNP)は、身分証や製品保証カードなどの高いセキュリティや高級感が求められるプラスチックカードに、さまざまな形状で箔押し(ホットスタンプ)加工できるリップマン型ホログラムを開発しました。DNPは、リップマン型ホログラム付きカードとして提供するほか、高いセキュリティが求められるカードを製造している海外メーカーなどに向けて、ホログラム箔として単独でも販売します。2016年4月に販売開始予定です。

【開発の背景】

真贋判定等の高いセキュリティが求められる身分証や、所有者のステータス向上等で高級感が求められる会員証、製品保証カードなどのプラスチックカードの多くには、銀色をベースに見る角度により色が虹色に変化し、左右方向の立体感を表現できるエンボス型ホログラムが使用されています。しかし近年、精巧な偽造カードが作られるようになってきたため、より偽造が困難で目視で容易に真贋判定がしやすいリップマン型ホログラムをカードに使用したいというニーズが高まってきました。

リップマン型ホログラムは、奥行きのある立体感の表現に優れ、高い意匠性を有するとともに、極めて偽造が困難という強固なセキュリティ性能が世界的に評価され、模倣品対策としてブランド品のパッケージや保証書、クレジットカードなどに採用されています。DNPは1992年にリップマン型ホログラムの製造を開始し、2010年には、身分証など向けに、このリップマン型ホログラムを埋め込んだプラスチックカードを開発しました。これは、カードを構成する複数のプラスチックフィルムの間にホログラムを挟み込むタイプであり、DNPの国内の工場で製造する必要がありました。それに対して海外などから、現地で製造するカードにリップマン型ホログラムを使用したいという要望が多く寄せられたため、今回、箔押し機でカードに加工できるリップマン型ホログラムを開発しました。

【製品の概要と特徴】

リップマン型ホログラムは、フィルムに塗布した感光性の特殊なポリマー材料の内部の密度を変化させ、屈折率の変化で干渉縞を形成することにより製造されます。その干渉縞に入射する光の回折現象により、立体的なホログラム像が表示されます。リップマン型ホログラムの製造には高度な技術が必要であり、世界でもDNPを含む数社だけが製造できます。特にDNPは、世界で初めて量産に成功しただけでなく、デザイン表現でも優れた技術を有しています。

DNPは今回、層の構成を工夫することで、プラスチックカードにさまざまな形状で箔押しできる薄さと加工適性を備えたリップマン型ホログラムを開発しました。一般的な箔押し機でカードに転写加工できます。

リップマン型ホログラムは左右に加え上下の立体感も表現できるため、エンボスホログラムと比べて、より立体感のある画像を表示することができます。生活者や企業は、その立体感を確認することで、カードの真贋を目視で容易に判定できることから、カードのセキュリティ性が向上します。またその意匠性により、他のカードと差別化できるため、製品保証カード、会員カードなどに高級感を持たせることなどにも適しています。

【今後の展開】

DNPは、身分証や製品保証カードを発行する企業にリップマン型ホログラム付きカードを提供するほか、ホログラム転写箔としてもカードメーカーへ提供し、2018年度までの3年間累計で、5億円の売上を目指します。また、今後も継続的に、より高度なセキュリティ印刷技術の開発、製品化を進めていきます。

 
DNPはいま、「知とコミュニケーション」「食とヘルスケア」「住まいとモビリティ」「環境とエネルギー」を成長領域と位置づけ、新しい価値をもった製品やサービスを創り出す取り組みを推進しています。そのなかで、企業や商品のブランド保護、紙幣や金券などの偽造防止に必要なセキュリティ印刷技術の開発も進めています。DNPは、国内外での実績が豊富なホログラムのほか、複製困難な人工DNAを含有した印刷用インキ、圧力を印刷面にかけるとインキが発光する「応力発光印刷」の開発など、常に最先端のセキュリティ印刷技術の開発に取り組んでいます。
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