2024年9月20日

養殖魚のエサとなる昆虫の飼育自動化に向けた原理試作機を開発

ミールワームをプロテイン源として安定供給し、持続可能な水産養殖を支援

大日本印刷株式会社(DNP)と国立大学法人愛媛大学は、新菱冷熱工業株式会社と共同で、養殖魚の飼料(エサ)となる昆虫の飼育を自動化する原理試作機を開発し、2024年9月20日(金)に愛媛大学の実験室で稼働を開始しました。

DNPと愛媛大学は、鯛などの養殖に必要なタンパク質(プロテイン)源として、昆虫の幼虫であるミールワーム*1の飼育工程の自動化・効率化を目的とした共同研究を2023年8月に開始し*2、その結果を基に今回、原理試作機を開発しました。今後、共同研究をさらに進めて自動化技術を向上し、2025年度に年間10トンの養殖魚用飼料粉末の生産を目指します。

愛媛大学の実験室の様子

取り組みの背景

近年、持続可能な養殖魚の供給に向けて、エサに関する価格高騰や輸入依存度の高さ、サプライチェーン(供給網)上のリスク等が課題となっています。こうした課題の解決に向け、養殖魚のプロテイン源として栄養価が高く、雑食性で繁殖能力も高いミールワームが期待されており、今回、DNP・愛媛大学・新菱冷熱工業はその安定的な供給に向けて原理試作機の稼働を開始します。

今回稼動する原理試作機の特長

  • 人工気象器: 温度・湿度・照明などの環境条件をコントロールする装置です。ミールワームが最も成長しやすい条件を追求します。
  • 自動給餌・給水装置: 一定の時間間隔で、必要な量のエサや水を自動的に供給する装置です。飼育作業を省人化し、多様な事業者による飼育環境の均一性を保ちます。
  • 選別装置: ミールワームと糞(ふん)等を選り分ける装置です。成長段階に応じたミールワームの選別を迅速かつ正確に行い、生産効率を向上します。

今後の展開

DNPと愛媛大学は、ミールワームの自動飼育装置の開発をさらに進めるとともに、量産検証する施設を2025年度に建設し、養殖魚の飼料用粉末として年間10トンの生産を目指します。その後、昆虫プロテインとしてのミールワーム飼育工場を立ち上げ、2027年度に年間100トン、2028年度に年間1,200トンの飼料用粉末の生産を目指します。


大日本印刷株式会社 本社:東京都新宿区 代表取締役社長:北島義斉 https://www.dnp.co.jp

愛媛大学 所在地:愛媛県松山市 学長:仁科弘重 https://www.ehime-u.ac.jp/

新菱冷熱工業株式会社 本社:東京都新宿区 代表取締役社長:加賀美猛 https://www.shinryo.com/index.html


*1 ミールワーム : チャイロコメノゴミムシダマシの幼虫。

*2 2023年8月10日ニュースリリース「養殖魚のエサとなる昆虫の自動飼育装置の開発を開始」 https://www.dnp.co.jp/news/detail/20169570_1587.html

2024年5月20日公開のWebサイト記事:Discover DNP「養殖魚のエサの開発について」 https://www.dnp.co.jp/media/detail/20175114_1563.html

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