2019年8月29日
世界遺産で国宝の仁和寺「金堂」の高精細8K VRコンテンツを制作
9月開催の「第25回 国際博物館会議(ICOM)京都大会」、「仁和寺音舞台」に出展
大日本印刷株式会社(本社:東京 社長:北島義斉 資本金:1,144億円 以下:DNP)は、世界遺産で特別公開時にしか見られない、国宝の仁和寺「金堂」を3次元(3D)データとして計測し、8K対応の高精細なVR(Virtual Reality:仮想現実)コンテンツを制作しました。
DNPは本作品を、2019年9月1日(日)~7日(土)に国立京都国際会館で開催される「第25回 国際博物館会議(ICOM)京都大会」のDNPブース(9月2日~9月4日に出展)、および9月7日(土)に開催される「仁和寺音舞台」*1にて公開します。
仁和寺「金堂」のVRと計測の様子、および計測で得た点群データイメージ。 (左上)「金堂」内陣のVR (右上)「金堂」外陣のVR (左下)文化財に触れずに3D計測している様子 (右下)3D計測した点群データ
【制作の背景】
近年、国内外の歴史的な建造物や大規模文化財では、老朽化に加え、地震をはじめとする予期せぬ自然災害などにより、突発的な被害が発生する場合があり、多くの文化資源と同様、利用と修復・保存・継承をいかに進めていくかということが課題となっています。特に大きな文化財は収蔵庫等での保管が難しく、気候等による影響が避けられないため、維持と保全に多くのコストがかかっています。一方、日本政府は、2025年までに文化産業の経済規模である“文化GDP”を18兆円に拡大することや、2020年までに訪日外国人旅行者を4,000万人とする目標をかかげており、文化財の「保護」と同時に、観光資源としての「公開」を両立することが求められています。
こうした課題に対してDNPは、世界遺産をはじめとする京都の有形・無形の文化遺産を毀損することなく保存し、次代へ継承していく「京都・文化遺産アーカイブプロジェクト*2」に参画しているほか、多くの美術館・博物館に「ITを活用したインタラクティブな鑑賞システム」を提供してきた技術やノウハウを活かして、今回、仁和寺「金堂」の高精細8Kに対応したVRコンテンツを制作しました。
【「仁和寺「金堂」のVRコンテンツ」の特長】
1.文化財に負担をかけずに計測し、高精細なVRコンテンツを制作
「金堂」のテクスチャー(材質・質感)などを高精細に再現するため、DNPが参画している「京都文化遺産アーカイブプロジェクト」や「フランス国立図書館の貴重な地球儀・天球儀の3Dデジタル化プロジェクト」*3などで培った撮影技法やデジタル化のノウハウを活用して、高解像度の撮影を行いました。また、「金堂」の3D計測では、高解像度撮影した画像から3Dデータを生成するフォトグラメトリ計測と、レーザーを対象物に照射し3Dデータを取得するレーザー計測を、最適に組み合わせることで、短期間、かつ、精度高く3Dデジタル化することを実現しました。
2.通常は体験できない視点をVRコンテンツで鑑賞が可能
VRコンテンツでは、特別公開の時にしか見られない金堂内部を歩いているような「ウォークスルー形式」で鑑賞でき、特徴的な意匠や見どころを音声とテキスト(字幕:日本語、英語)で解説します。鑑賞時には、仁和寺の読経の音源を流すことにより、多くの来訪者に、金堂内で拝観しているかのような体験を提供します。
3.計測データを活用した文化財修復支援や多様な表現への展開が可能
今回VRコンテンツの制作のために計測した各種データは、今後予期せぬ自然災害や火災などで修復・復旧が必要となった場合の図面として活用できます。また、これらのデータを新たなコンテンツの制作に利用することも可能で、文化財を身近に楽しむ機会の提供にもつながります。
【今後の展開について】
DNPは、文化財等の保存・継承・公開などに関わる活動を推進し、今後も多くの人々が文化を学び、体感していただけるような文化事業を展開していきます。
*1 「仁和寺音舞台」の公式Webサイト → https://www.kyoto-chishin.com/otobutai/
*2 京都・文化遺産アーカイブプロジェクトについて → https://www.dnp.co.jp/news/detail/1187432_1587.html
*3 フランス国立図書館の貴重な地球儀・天球儀の3Dデジタル化プロジェクトについて → https://www.dnp.co.jp/news/detail/1188106_1587.html
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