2016年1月13日

耐候性、耐摩耗性に優れた車両用樹脂ガラスを発売

樹脂ガラスに転写して耐候性などを向上させる「DNP超耐候ハードコート転写フィルム」を開発

 大日本印刷株式会社(本社:東京 社長:北島義俊 資本金:1,144億円 以下:DNP)は、樹脂ガラス*1に転写することで、耐候性、耐摩耗性を向上させる「DNP超耐候ハードコート転写フィルム」を開発しました。また、本フィルムを転写した樹脂ガラスの販売を2016年2月に開始します。今回発売する樹脂ガラスは、高い耐候性と耐摩擦性を備えており、紫外線(UV)による劣化を抑えることも可能です。

なお「DNP超耐候ハードコート転写フィルム」は、発売に先行してテスト検証を行っており、車両の窓の樹脂ガラス用に採用されています。

*1 樹脂ガラス : 珪酸による一般のガラスではなく、ポリカーボネートなどのプラスチック製の有機ガラス。

【開発の背景】

DNPは、事業の成長領域のひとつに「住まいとモビリティ」を掲げ、自宅や職場、学校や商業施設のほか、自動車や電車などの移動空間も含めた快適性の確保や、いつでもどこでも安全に利用できる情報サービスの創出などに努めています。自動車関連では、内装用の加飾フィルムや車載ディスプレー用の視野角制御フィルム等を提供しているほか、ドア窓の上に付けるサイドバイザーで高い国内シェアを持つDNP田村プラスチック株式会社を2015年8月にグループ化するなど、事業を強化しています。

樹脂ガラスは耐衝撃性や断熱性に優れるほか、重量が一般のガラスの約半分と軽いため、電車の車両や建設機械、自動車の窓ガラスなどに使用したいというニーズが高まっています。しかし、ポリカーボネート製の樹脂ガラスは、加工性に優れる反面、太陽光や風雨などに対する耐候性や、硬さ、傷つきにくさなどがガラスよりも劣るという課題がありました。この課題に対してDNPは、住宅用建装材の製造で培った独自のEB技術*2を活用し、樹脂ガラスの表面に転写することで耐候性と耐摩耗性を向上させる「DNP超耐候ハードコート転写フィルム」を開発し、本フィルムを転写した樹脂ガラスを販売します。

*2 EB(Electron Beam:電子線)技術 : 電子線の照射によって、塗工した樹脂を硬化させるコーティング技術。ウレタンやUV樹脂をコーティングした製品に比べ、傷や汚れ、太陽光などに強く、高い耐久性と実用性能、品質安定性を確保できる。製造工程での省エネルギー化やCO2排出量削減、無溶剤塗工も可能な次世代型環境対応技術。

【「DNP超耐候ハードコート転写フィルム」を使用した樹脂ガラスの特長】

・EB技術によって高硬度のハードコート層を形成するため、汎用品のポリカーボネート樹脂と比較して、表面の耐摩耗性が向上するため傷つきにくく、また紫外線(UV)による変色や劣化が抑えられ耐候性が向上します。

・樹脂ガラスの成型と同時に本フィルムを転写することで、加工等のコストを抑えることが可能です。

・プラスチック製のため重量はガラスの約半分と軽量ですが、ガラスと同等の透明性を確保しています。

・耐衝撃性が高く、割れる可能性が低いため、安全面で優れています。

 

■耐候性試験 比較 

写真左:DNP品 透明、写真右:汎用品 黄変
※耐候性試験:キセノンアークランプ1,300MJ/㎡(2,000時間) (JIS K 7350-2:2008準拠)

■耐摩耗性試験(スチールウール)比較

写真下:DNP品 傷なし、写真上:汎用品 傷あり
※耐摩耗性試験条件:スチールウール1kg荷重、1,000回往復(当社測定)

【今後の展開について】

DNPは本樹脂ガラスを電車の車両や建設機械、乗用車やバスなどに向けて販売し、2017年度までの累計で10億円の売上を目指します。

なお、1月13日(水)~15日(金)に東京ビッグサイトで開催される「オートモーティブワールドクルマの軽量化技術展」のDNPブースに、「DNP超耐候ハードコート転写フィルム」を出展します。

※ニュースリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容などは発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承下さい。

 

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