2021年8月4日
11.1kWの大電力対応の薄型・軽量なワイヤレス充電用シート型コイルを開発
大日本印刷株式会社(本社:東京 代表取締役社長:北島義斉 資本金:1,144億円 以下:DNP)は、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)等の電動車、無人搬送車(AGV)に11.1kWの大電力に対応した、薄型・軽量・低コストなワイヤレス充電用シート型コイルを開発しました。
【大電力対応ワイヤレス充電用シート型コイル開発の背景】
近年、環境負荷の低減に向けて世界的に電動車が普及するなか、充電作業の煩雑さを解消し、生活者の利便性を向上するワイヤレス充電技術が、電動車のさらなる普及を促進するものとして注目されています。また、特にセンサーやカメラによってハンドル操作が不要となる「自動駐車」の普及とともに、より欠かせない技術とになると考えられています。一方、電導線としてリッツ線を使用する既存のコイルは、厚み・重量・コストに課題がありました。
こうした課題に対して今回DNPは、エレクトロニクス部門の事業で長年培った知見を活かしたコイル設計技術・製造技術により、大電力伝送(SAE*1 J2954-WPT3/11.1kWクラス)に対応した、既存製品よりも薄型・軽量で、かつ低コストなワイヤレス充電用シート型コイルを開発しました。この製品は、EVやPHEVに加え、市場が拡大しているAGVにも使用できます。
大電力対応ワイヤレス充電用シート型コイル(左)と充電イメージ(右)
【DNPが開発したシート型コイルの特長】
- 送電側と受電側の両方のワイヤレス充電システムに対応しています。
- 電動車向けのフェライトを含めたコイルの厚さは約3mm、重量は約1kg(SAE Internationalが規定するJ2954 WPT3/Z2対応のコイルの場合)です。リッツ線を用いた同仕様の既存製品の厚さ約12mm、重量約4kg以上と比べて、厚さ・重量ともに約4分の1と、大幅な薄型化・軽量化を実現しました(DNP調べ)。
- 使用する材料も削減できるため、既存製品と比べてコストを低減することが可能です。
- DNP独自のコイル設計技術により、コイルの外側に発生する漏洩磁界を低減し、発する熱の低減や平均化も実現することによって、大電力の伝送を可能としました。
- コイルのサイズや使用電力に合わせた最適設計技術を活かすことにより、設置スペースが小さい無人搬送車(AGV)にも応用可能です。
- 本製品は、コイルで発生した磁界を熱に変えるIH家電の内部に組み込まれているコイルとしての代用も可能です。
【今後の展開】
DNPは、今回開発した大電力対応ワイヤレス充電用シート型コイルの早期の製品化を推進し、2025年までに年間50億円の売上を目指します。国内外の自動車メーカーやシステムメーカー、道路等のインフラ関連の業界のほか、無人搬送車(AGV)メーカーやIH家電のメーカーにも提供していきます。
また、シート型コイルの技術の応用・発展に努め、製品開発をさらに進めて、将来的には、究極の技術として各国で研究・開発が進められている走行中充電向けにも展開していきます。
*1 SAE(Society of Automotive Engineers) International : モビリティ分野の専門家約12.7万人を会員とする米国の非営利団体で、自動車や航空宇宙関連の標準規格の開発等を行っている。
※記載された製品の価格、仕様、サービス内容などは発表日現在のものです。予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承下さい。
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