2020年9月1日

大日本印刷 バリア性とCO₂削減を両立させた単一素材(モノマテリアル)のパッケージが ユニリーバ社リプトン「ボタニックティー」と「キープ&チャージ」で採用決定

アルミレスでもバリア性が高く、長期保存においても風味劣化を防げる機能を評価

大日本印刷株式会社(本社:東京 代表取締役社長:北島義斉 資本金:1,144億円 以下:DNP)は、食品や日用品など向けに、よりリサイクルしやすい単一素材(モノマテリアル)で構成したフィルムのパッケージを2018年に開発し、広く提供してきました。

今回、バリア性や高速充填性が必要とされるパッケージとして、ポリプロピレン素材の「DNPモノマテリアル包材」が、ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング株式会社(本社:東京 代表取締役社長:サンジェイ・サチュデヴァ 以下:ユニリーバ)の紅茶ブランド「リプトン」シリーズ5製品で採用されました。

ユニリーバ 「リプトン ボタニックティー」 (上段)、「リプトン キープ&チャージ」(下段)

「DNPモノマテリアル包材」の特長

従来の食品用フィルムパッケージの多くは、複数種類の素材で構成されており、異なる素材ごとの分別が難しくリサイクルしにくいという課題がありました。また、内容物の劣化を防ぐためバリア層としてアルミ箔を使用した場合は、フィルム素材だけの場合と比較して製造や廃棄の工程でCO₂の発生量が多くなるという課題もありました。こうした課題に対し、従来のモノマテリアルパッケージは、リサイクルしやすいものの、アルミ箔を使用しないことにより用途によっては酸素、水蒸気のバリア性が不十分となるため、長期保存用のパッケージには不向きとされてきました。

それに対して、DNPが提供するポリプロピレン素材のモノマテリアルパッケージは、これまで培ってきたコンバーティング技術*1などを活かして、必要な性能を付与しています。主な特長は以下の通りです。

・アルミ箔を使わなくても酸素、水蒸気のバリア性が高く、かつ内容物の充填後もバリア性の低下を抑えることができるため、長期保存にも適しています。

・モノマテリアルのためリサイクルしやすく、製造や廃棄の工程でのCO₂削減によって環境課題の解決にも有効です。今回の採用製品を従来の仕様と比較して、100万袋利用時に21.7トン(DNP試算値)のCO₂削減を見込んでいます。

*1 コンバーティング技術 : 材料の形を変えたり、複合したりする材料加工技術。DNPは、製膜、コーティング、ラミネート、蒸着、賦型、転写、切断・研磨、製袋・成型・製本など、紙やフィルムなどの素材の加工技術を磨いてきました。

「リプトン」シリーズへの採用による環境負荷の低減などの効果

ユニリーバは、2010年に「ユニリーバ・サステナブル・リビング・プラン」を導入して、環境負荷を減らし、社会に貢献しながらビジネスを成長させる事業戦略を掲げ、その中の環境関連の目標として、「プラスチック・パッケージを、再利用可能・リサイクル可能・堆肥化可能にする」ことを示しています。

同社の紅茶製品「リプトン」シリーズのスタンドパウチ型パッケージはこれまで、紅茶の味や風味を保つため、バリア層にアルミ箔を使った複合フィルムを用いていました。しかし、複合したアルミ箔は分別が難しくリサイクルの大きな妨げとなる上、製造・廃棄時にCO₂が多く発生するため環境配慮の観点から大きな課題となっていました。

この課題に対して、「DNPモノマテリアル包材」は、リサイクル性に配慮しながら高いバリア性を保持する機能が高く評価され、「リプトン」シリーズのスタンドパウチでの採用に至りました。このモノマテリアルパッケージは、アルミ箔の仕様と比較して、充填時に袋を広げる「エアー圧」を下げることができ、風を送る電力量を削減できます。また、パウチの重量もアルミ箔の仕様と比較して軽くなり、廃棄量の削減にもつながるなど、同社が循環型社会を目指す上で、環境配慮につながる具体的効果が出ているという評価をいただいています。

DNPの環境配慮製品・サービスの取り組み

DNPは、独自の「P&I」(印刷と情報)の強みとパートナーの強みを掛け合わせて、社会課題を解決するとともに、人々の期待に応える新しい価値の創出に取り組んでいます。海洋プラスチックごみ等に代表されるプラスチック問題の解決や循環型社会の実現、地球温暖化を抑制するソリューションの開発などにも取り組み、グループを挙げて環境配慮製品・サービスの開発・提供に力を入れています。

特に、人々の暮らしに身近なパッケージについては、「資源の循環」「CO₂の削減」「自然環境の保全」という3つの提供価値を通じて、循環型社会の実現および環境負荷の低減につなげるため、「DNP環境配慮パッケージング GREEN PACKAGING」*2を展開しています。「GREEN PACKAGING」では、石油由来の原料の代わりに一部に植物由来の原料を使用した「DNP植物由来包材 バイオマテック」シリーズをはじめ、環境に配慮したパッケージの開発・提供をしています。

*2 「DNP環境配慮パッケージング  GREEN PACKAGING」について 
https://www.dnp.co.jp/biz/solution/products/detail/1190186_1567.html

今後の展開

DNPは、「GREEN PACKAGING」全体で、2025年度に年間500億円の売上を目指します。また、今後も高度なコンバーティング技術を生かして、バリア性や耐熱性、強度などの機能を高めた製品ラインアップを拡張するなど、プラスチック使用量の削減やCO₂排出量の削減に向けて、さらなる環境配慮製品・サービスの開発を進めていきます。

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