透明スクリーンの利用イメージ

まるで空間に浮かぶ映像!ディスプレイの可能性を広げる「透明スクリーン」

何もない空間に浮かぶアニメキャラクター。ついに現実の世界にアニメが飛び出したのかと驚くなかれ、実はこれ、DNPが開発した「透明スクリーン」というディスプレイにキャラクターが映ったもの。明るい場所でもはっきりと像を描き、まるでそこにキャラクターが存在するかのよう。このほかにもさまざまな可能性を秘めている「透明スクリーン」についてご紹介します。

目次

透明スクリーン 製造・販売終了のお知らせ

透明スクリーン(40インチ・80インチ)は2022年9月末をもって製造・販売を終了いたしました。
なお、引き続き開発は継続しております。

見た目はただの透明な板でも、美しい像を投影できる「透明スクリーン」の秘密

透明スクリーンの画像

上の写真の透き通った板がDNPの透明スクリーン。肉眼では特別な加工があるようには見えず、厚さ3〜4mmの透明なプラスチック板のよう。

構造としては、内部に光学レンズを使用した厚さ0.3mm程度の特殊なフィルムがあり、その両面をプラスチック板で挟んだ3層から成り立っています。フィルム部分には、同心円状の溝があり、短焦点プロジェクターから入ってきた光を前面に反射させ、像を浮かび上がらせています。最大の特徴は、スクリーン自体の「透明度」と、投影された「映像の明るさ」です。

透き通ったガラス板とほぼ同じ透明度

名前の通り、透明さが最大の特徴である透明スクリーン。濁りの指標を表すヘイズ値(%)は、真っ白のすりガラスが100、透明なガラス板が0.5とされる中で、透明スクリーンはなんと0.9。ほぼ透明といえる数値です。※数値はDNP調べ

暗くなくても、投影する映像は明るくクッキリ!

透明スクリーンで投影した映像

DNPが独自開発した特殊な光学レンズを使用することにより、効率的に光を集められます。そのため従来製品に比べ、明るい場所でも鮮明な像を映し出すことができるのです。

AbemaTVで採用。透明スクリーンの魅力とは?

AbemaTV番組放映画像

2018年には、AbemaTVの『にじさんじのくじじゅうじ』という番組で、演出上の仕掛けとして使われた透明スクリーン。採用のきっかけをつくった株式会社キッズプレート代表取締役社長 茂出木様に、魅力を伺いました。

「バーチャルユーチューバーのコンテンツで、キャラクターの全身を空間に映し出せないかと考えていたときに、DNPさんの透明スクリーンを知りました。話を聞いてみると、技術的に映像の映し方が非常に画期的だと感じましたね。最初はイベントで、その後に番組でも使用させていただきましたが、日中の撮影でもとても高精細な映像を浮かび上がらせることができるので、これまでにない不思議な演出ができたと思います」

  • AbemaTV『にじさんじのくじじゅうじ』
    バーチャライバー(Vtuber=Virtual YouTuber。外見がコンピューターグラフィックやイラストのユーチューバーのこと)が出演者を務めるインターネット番組。

海外での展示にメディアも注目!

2019年3月には最先端テクノロジーの祭典と呼ばれる北米の大規模なITイベントにおいて経済産業省主催の日本ブースで展示、さらに5月には北米で開催されたディスプレイ技術展示会「SID2019」へ出展しました。ニュース番組やさまざまなメディアで取り上げられ、海外でも注目を集めてます。

エンタメから空間の演出まで! 広がる透明スクリーンの活用法

現在、身近な場面でも普及が進んでいる透明スクリーン。スクリーン越しに置いたものと重ね合わせることで空間の演出ができたり、使わないときには存在感を消せたりなど、一般的なディスプレイにはないたくさんのメリットがあります。

アパレル小売店のイメージ画像

アパレルの小売店では、マネキンを囲むように透明スクリーンを配置すれば、ファッションアイテムと重ね合わせた映像の演出ができます。商品ディスプレイの分野にも活躍の場が広がっているのです。

  • 写真はエプソン新商品内覧会での用途事例提案

スーパーのイメージ画像

また、スーパーマーケットでは、陳列棚の上に透明スクリーンを置けば、商品の産地情報などを流すことも可能に。視界を邪魔することなくPRの場として活用できます。

「透明スクリーン」が進化すると、こんな未来がやってくるかも!?

透明スクリーンが進化した未来のイメージ図

上のイラストは、透明スクリーンの技術がさらに進化し、普及した未来のイメージを描いたもの。

スポーツの競技場でフィールドと座席の間に透明スクリーンを設置すれば、試合を見ながら、得点や選手情報などをリアルタイムで表示することが可能になるかもしれません。

また、完璧な自動運転が実現すると、運転の時間を有効に活用できるようになるはずです。そこで、フロントガラスを透明スクリーンにすれば、移動の時間を映画鑑賞にあてられるのです。もちろん自分で運転する際も、ナビゲーションシステムを表示するなど、運転の補助機能として活用することも考えられます。

ディスプレイのあり方を変える可能性を持った透明スクリーン。“未来”がますます楽しみになりませんか?

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