2016年6月22日
大日本印刷、阪神高速技術、クラボウ 老朽化した橋梁などのコンクリート片のはく落を簡易的に防止する応急処置材「DK-ピタットエイド」を開発
新開発の接着材と繊維ネットを一体化したシート形状で施工を容易に
大日本印刷株式会社(以下:DNP)と阪神高速技術株式会社(以下:阪神高速技術)、倉敷紡績株式会社(以下:クラボウ)は、共同で容易にコンクリート片のはく落を防止できる応急処置材「DK-ピタットエイド」(注1)を開発しました。本製品は、高架橋やトンネルなどの点検時に発見されたコンクリートの浮き等、不具合のある箇所を応急的に補修し、その後の本格的な補修工事を行うまでの安全性を高めるために使用するものです。
【開発の背景】
国内では、高度経済成長期に建設された道路や鉄道など数多くのインフラが老朽化してきており、コンクリートの一部が剥がれて落下する(はく落)といった事故が社会問題となっています。この対策として、定期的にコンクリート構造物を点検し、浮き等の不具合が見つかった箇所は、その周辺も含めてコンクリートを落としておき、その後、はく落防止のための補修工事を実施しています。点検から補修工事の完了までははく落の危険が残るため、不具合箇所を発見した時点で点検者でも簡単に行える、コンクリート片のはく落を抑える応急的な対策が求められていました。
この課題に対し、今回DNP、阪神高速技術及びクラボウは、特殊な接着剤と補強繊維ネットを一体化した粘着シート状の「DK-ピタットエイド」を開発しました。
【本製品「DK-ピタットエイド」の特長】
高架橋やトンネルなどの点検時に発見されたコンクリートの浮き等の不具合箇所をその場ですぐに応急的に補修できます。本製品は、コンクリート片のはく落を防止するクラボウの高強度ポリエチレン繊維「クレネット」を、DNPが開発した接着材層でラミネートして粘着性のあるシートにしたものです。
<主な特長>
・ 不具合箇所のコンクリート表面を平滑にする下地材料を塗布した後、外装のPETフィルムを剥がしてコンクリートに貼るだけで、簡単に不具合箇所の補修ができます。
・ 太陽や蛍光灯などに含まれる紫外線の照射により、接着剤の硬化が開始します。
・ 従来の補修工事(ポリマーセメントモルタル等)では1m2あたり2日ほど要していた作業を30分程度で行うことができます。
・ 不具合箇所の発見から恒久的な補修工事が行われるまでの間のリスクを低減します。
・ コンクリート片のはく落を想定し、その防止性能を評価する耐荷試験(押抜き試験)で、約2.5kNと、補修に必要な規定値1.5kN(注2)を上回っており、応急処置材としての基本性能を保持しています。
・ 接着剤などの材料に大気汚染の原因にもなる有機溶剤の含有量が少なく、臭気のない、環境に優しい補修材です。
層構成
【今後の取り組み】
DNP、阪神高速技術及びクラボウは、実証実験を行い、そこで得られた評価や知見をマーケティング活動に活かしていき、2016年度中の製品化を目指します。
(注1)「DK-ピタットエイド」は、DNPとクラボウの登録商標です。
(注2)阪神高速道路株式会社 道路構造物の補修要領に準拠
第2部コンクリート構造物 第2編コンクリート構造物表面保護要領(平成19年1月)
表面保護工の品質基準「中防食 C種」
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