2022年3月10日
コミックの制作・流通を支援するコンテンツ・エコシステムを構築
社外パートナーとの連携によりコンテンツ制作プロセスを一貫してサポート
大日本印刷株式会社(DNP)は、コミックを中心としたコンテンツの創出・制作、各種データへの変換を一貫して支援する「MANGA CREATIVE WORKS™」という体制(スタジオ)を構築し、社外パートナーと連携して、出版市場の活性化に向けたサービスを開始します。
生活者にとって最適なタイミングと形でコンテンツを提供するための体制をつくることで、デジタルシフトが進むマンガを核としたコンテンツ市場の継続的な発展を支援します。
新体制「MANGA CREATIVE WORKS™」構築の背景
近年、印刷物だけでなくWebサイトやアプリでコミックを楽しむ読者が世界的に増加し、国内では電子と紙を合わせたコミック全体の市場規模が2021年に約6,759億円と、2年連続で過去最大になりました。それにともない、著作権を活かすライツビジネスの拡大とともに、国内コンテンツホルダーのグローバル市場への進出も活発になっています。
一方、デジタル化や動画・音声の付加、多言語化といった情報加工による価値の拡大、制作・製造・販売・流通等のプロセスの多様化や関連企業の機能の分散化など対応すべき課題も多く、特に国内では、コンテンツ関連の人材不足が大きな問題となっています。海外企業によるコンテンツ流通プラットフォームの浸透などもあり、従来の雑誌・単行本の出版を中心としたワークフローでは対応しきれない状況となっています。
これに対してDNPは、作品を創作・制作するプリプロダクションと、加工・変換などを行うポストプロダクションを中心に、社内リソースの活用、社外パートナーとの連携を強化してコンテンツのディレクション・制作・変換などを効率的に行う体制「MANGA CREATIVE WORKS™」を構築します。この新体制を「コンテンツ・エコシステム」として運用し、コンテンツ関連の価値創出プロセスの中で効率的に収益を上げるコンテンツの流通販売、2次利用、生活者との接点づくりなど一貫したサービスを提供していきます。
「MANGA CREATIVE WORKS™」の強み・特長について
- この体制は、小説等のコミカライズ、電子書籍の制作、縦スクロールマンガへの変換・制作、着彩(カラー化)、多言語翻訳、動画・音声の作成など、コミックを中心とした多様なコンテンツづくりを支える新しい体制です。
- この体制は、出版社が従来、複数の制作会社ごとに行っていた発注・作業指示・校正などの業務を一元化し、負荷を低減します。また、パートナーとなる制作会社は、個々の事業規模に応じた業務を受託することで、安定的な仕事量を確保することができます。
- クリエイターや出版社はもちろん、各企業が保有するコンテンツのコミカライズによる知的財産(IP:Intellectual Property)の創出や、国内外のコミック市場開拓に対するパートナーとの連携強化を進めるなど、体制の強化・拡大を図ります。
- 高い品質の成果物を創出するとともに、効率的な制作体制を確立することで、コストと負荷をともに削減して、出版社のマンガコンテンツの多メディア展開を支援し、新しいIPの創出や国内外に向けた公式コンテンツの流通を促進するほか、海賊版の流出防止にもつなげていきます。
今後の展開
2022年4月に、「MANGA CREATIVE WORKS™」の本格的なサービス開始を予定しています。品質の安定やプロセスの効率化、電子書籍制作と海外展開、新たなコンテンツ表現の開発、データの一元管理、海賊版サイト対策など、各種機能を順次増強していきます。また、現在、コンテンツ制作に関する10社のパートナーの参画が決まっており、22年度中に約35社との契約を目指しています。
DNPは、本体制の構築・運用によって国内外のマンガ制作関連事業を拡大して、2021年度の売上40億円から、5年後には約3倍の150億円の売上を目指します。
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