半導体製造の裾野を広げ、誰もが快適で便利な社会を支えるDNPの「フォトマスク」
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スマートフォン等の情報端末、自動車等のモビリティ、ATMや家電などあらゆる電化製品に組み込まれ、私たちの暮らしを支えている半導体。その製造過程における最重要部材が、微細な回路パターンの形成に使用するフォトマスクです。DNPは1959年にフォトマスクの試作に成功して以来、一貫して多様な製品の開発と技術革新に挑戦。今では国際的な半導体市場を支える大きな事業の柱となっています。このDNPのフォトマスクの秘密に迫ります。
目次
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活じい…金属活字じいさん。活字としてのキャリアは100年以上。長い経験で培ったDNPグループに関する豊富な知識で、いろいろなことを教えてくれる生き字引的な存在。
トンボちゃん…印刷物の見当合わせ*用の“トンボ”から生まれたキャラクター。きっちりした性格で、曲がったことが大嫌い。細かな気遣いで活じいをサポートします。
- ※【印刷用語:見当合わせ】 多色印刷で各色の版を重ね合せる際の位置精度が「見当」。版面に入れたトンボと呼ぶレジスターマークで見当を合わせる。
半導体の性能を左右するフォトマスク
まずは今回のテーマ「フォトマスク」が製造に使われる半導体の説明から始めましょう。
半導体は、炊飯器や電子レンジなどの家電から、スマートフォンやパソコン、自動車に至るまであらゆるものに組み込まれている、現代社会に欠かすことのできない部品です。本来は物体の性質を表す言葉で、金属のように電気を流しやすい「導体」とプラスチックのように電気を通しにくい「絶縁体」の中間の性質を備えているため「半導体」と呼ばれています。この性質を利用して通電のオン/オフを切り替え、機器を制御します。
半導体の性能を左右するのは、この電気の流れをコントロールする回路パターンの精密さです。回路パターンの精密化のスピードは、1965年にインテル社の創業メンバーが提唱した「ムーアの法則」によると「18カ月で2倍になる」とされ、現在最小のパターンサイズは約12nm(ナノメートル、10億分の1メートル)ほど。約100nmのインフルエンザウィルスよりも微細なレベルです。高性能な半導体が求められる製品の一つ、スマートフォンを例に挙げると、2007年に発売された初代に対して、2024年の最新型では約7万倍以上の精密度に達していると言われています。
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この半導体を製造するうえで重要な部材の一つが、フォトマスクです。写真のネガフィルムのような役割を果たし、半導体チップの回路パターンをシリコンウェハーという基材に転写する原版として用いられます。つまり、どれだけ精密な回路を設計しても、それを正確に転写するフォトマスクがなければ、半導体を量産することはできないのです。
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DNPは1959年、印刷工程で培った微細加工技術や光学設計技術を掛け合わせ、半導体用フォトマスクの開発に成功。以来、半導体メーカーに、高精細なフォトマスクの製品群を開発・提供し続けています。
精密なフォトマスクを生み出す秘密
ここからは、フォトマスク自体の仕組みを見ていきましょう。フォトマスクは、半導体チップの回路パターンをガラスや石英などに描画した透明な板状の部材です。
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フォトマスクに描画される回路パターンは、髪の毛の太さの10万分の1と言われるnm(ナノメートル)単位の超微細なもので、その製造には高度な技術が必要です。中でもDNPのフォトマスクは精緻で、かつ欠陥や異物が少ないことが特長で、約1.5nm以下の寸法均一性を持ち、パターンの位置ズレは2nm以下です。光で欠陥を検出する装置の感度は35nmで、100mm四方を約80分で検査します。
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このように、長い年月をかけて培った技術・ノウハウや製造プロセスの工夫によって、DNPは高品質なフォトマスクの製造を実現しているのです。
誰もが先端技術を活用できる未来のためにDNPがめざすこと
近年、生成AIやVR・AR、自動運転の浸透に加え、それらを支える大規模データセンターの需要拡大といった社会背景を受けて、より高度な次世代半導体が求められています。演算処理が速い次世代半導体によって、バッテリー寿命が延びたり、データセンターのCO2排出量を下げられたりといった省エネ効果も期待されています。それにともない、より微細な回路を転写できるフォトマスクも求められています。
こうしたニーズを受けてDNPは、Rapidus株式会社が参画している国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」に再委託先として参画。最先端の半導体製造に有効なEUV(Extreme Ultra-Violet:極端紫外線)で必要とされる次世代フォトマスクの製造プロセス開発に着手しています。
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しかしEUVへの対応は、期待されている一方、新たな製造機器を使うため多額の設備投資が必要となり、なかなか量産できるものではありません。資金面をクリアできない半導体メーカーなどはこうした先端領域に取り組むことが困難であり、各社の技術格差が開いていくことが、近年の半導体業界の課題の一つとなっています。
そうした課題に対し、従来方式からEUV対応への隙間をうめるものの一つとして期待されているのが、ナノインプリントリソグラフィ(NIL)です。NILは、回路パターンを形成したテンプレートをはんこのように、樹脂を塗布した基板に圧着させて、超微細なパターンの半導体を製造する技術で、半導体製造時の消費電力を従来手法の約10分の1に抑制できる“低消費電力”や“低コスト”であることが大きなメリットです。DNPも現在、NILの量産対応に取り組んでおり、その実現によって、高度な技術を組み込んだ半導体を今よりも多くのメーカーが作れるようになり、半導体市場全体の底上げにつながるのではないかと注目を集めています。
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※Discover DNP 半導体製造のカーボンニュートラルを加速する「ナノインプリントリソグラフィ」
https://www.dnp.co.jp/media/detail/10161674_1563.html
DNPはこれからも、さらなる伸びが期待されるEUV等の先端領域の開発を進めながら、低消費電力かつ低コストという点で製品の選択肢を広げるNILのテンプレートの量産にも取り組んでいきます。多様なフォトマスクやテンプレートの需要に応えることで、先端領域の半導体製造に多くの企業が参画できる“民主化”と、快適で便利なサービスや端末を誰もが享受できる社会の実現に貢献します。そしてDNPは、より良い未来を自らつくり出していきます。
半導体の重要度を考えると、フォトマスクの責任は重大ね。
「DNPの技術が世界を救う!」と思って、がんばってほしいものじゃな。
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