隈研吾建築都市設計事務所 様

パークコート赤坂檜町ザタワー

「樹木」をイメージした高層建築の外装に、DNP内・外装用焼付印刷アルミパネル・アートテックを採用いただきました。

概要

東京ミッドタウンに隣接して建つ超高層分譲マンション「パークコート赤坂檜町ザタワー(2018年2月竣工)」。地上44階、高さ166.23mのこの建物は、旧地名の「檜町」にちなみ、「檜」をコンセプトに作られています。空へと伸びる大樹のイメージを表現する上で、DNPのアートテックはどのような役割を果たしたのか。デザインを手がけた隈研吾建築都市設計事務所の設計室長・名城俊樹さんに、担当営業の田原澄人が話をうかがいました。

優れた意匠性でデザインの自由度を高めるオンリーワンの外装建材

パークコート赤坂檜町ザタワーの外装フィン

田原:「パークコート赤坂檜町ザタワー」では、外装のフィンや、タワーの最上部に設けられたグリーンキャノピーなどにアートテックを採用いただきました。

名城:あの建物は、全体的に「樹木」のようなイメージにすること、東京ミッドタウンの緑と連動させることを意識してデザインしています。フィンは、建物を「檜」に見立てた時の樹皮に相当する部分です。最初は大判のタイルを使い、アルミ型材に固定して作ろうかと考えていました。しかし、あれだけ高い建物になると風の影響が非常に大きく、重量物を取り付けるのはあまり好ましくないという話になったんですね。かと言って本物の木を使うわけにもいきませんし、意匠的にも木を抽象化したものを使いたいということで、アートテックが候補に挙がりました。

田原:最終的にアートテックに決定された理由は何でしょうか?

名城:一番は意匠性です。アルミの素材感を残したまま木目を表現できるという点が、他の材料と大きく異なりました。しかも、アルミパネルに直接印刷されていますから、耐候性に優れ、長期的に性能を維持できます。アートテックは他に類がない、ある意味、オンリーワンの製品だと思います。

太陽の光とアルミの光沢で、刻々と表情が変化する外壁に

玉川タカシマヤ(2014年)

田原:「アルミの素地を生かす」というのは、確かにアートテックの特徴のひとつです。樹木をモチーフにした建物で、なぜ金属を感じる外装建材を選ばれたのですか?

名城:木そのものではなく、あくまでも木を抽象化しているので、木に似て非なる材料を使いたいと考えていました。素地を感じないように塗装するより、アルミらしさを残して、「木ではない」と主張できるようにしたかったわけです。ただし、木をモチーフとしていること自体は遠くからでもわかるように、木目は本物より大柄になっています。

田原:以前、隈研吾さんが「玉川タカシマヤ(2014年)」の外装を手掛けられた際に、オリジナルで製作された木目柄ですね。

名城:オリジナルの柄で製作できるのも、アートテックが他の材料と大きく違う点ですね。今回はオリジナル柄は作りませんでしたが、色に関しては相当数のサンプルを出していただきました。フィンには3種類の色を選び、さらに3種類の向きで製作しています。おかげで、イメージ通りのランダムな感じを表現することができました。

田原:パークコート赤坂檜町ザタワーを眺めていると、太陽の動きに合わせて光をキャッチするフィンがどんどん変わっていくのがわかります。1日の中で、表情の移り変わりを楽しめる建物だと思います。

名城:太陽の光を浴びた時、アルミの素材感がある方がフィンの差異もよくわかるんですよ。こうした光の効果も、サンプルを使って何度も確認させていただきました。

建築物という「剛」のものに「柔」をもたらすアートテック

名城:パークコート赤坂檜町ザタワーでは、内装にも何ヵ所かアートテックを使用しています。田原さんにお願いして、スチール製のドアにもアートテックに見えるような印刷を施していただきました。シルバーがかなり自然に出ていて、いい仕上がりでした。

田原:スチールではアルミの金属感は出ないため、メタリック印刷で対応しました。タワーマンションというと全体的にグレーの印象がありますが、この建物は独特ですよね。名城さんは普段、どんな点にこだわって建築デザインをされているのですか?

名城:敷地に対して、建築でどういうふうに応えるかが最も重要だと考えています。まわりの環境に対して、いかに自然に建っているか、ですね。

田原:今回のように自然をモチーフにされることは多いのでしょうか?

名城:そういう傾向はあると思います。物件により表現方法は異なりますし、人工的な素材感を強調することもあります。しかし、いつもどこかで自然現象を抽象化し、表現することを考えたりしています。

田原:今後、表現したいとお考えのものはありますか?

名城:風や霧といった自然現象をイメージしたものを作りたいです。建物というのはオブジェクトとして存在するので、なんとなく「強いもの」という印象があると思います。それを軽やかに覆い隠したり、遠景から見た時に軽やかに感じる表現はできないかと、考えたりしています。アートテックは多彩な表現が可能ですから、さまざまなケースに活用しやすい建材だと思います。

田原:その時はまたぜひ、ご協力させていただければと思います。本日はありがとうございました。

プロフィール

<写真右>
隈研吾建築都市設計事務所
設計室長 
名城俊樹(めいじょう としき)
1979年11月8日生まれ。慶応義塾大学大学院理工学研究科修了。2004年、隈研吾建築都市設計事務所入所。サントリー美術館、シティホールプラザアオーレ長岡などを担当。

<写真左>
大日本印刷株式会社 
生活空間事業部 エキスパート
田原澄人

未来のあたりまえをつくる。®