2019/6/14
一人ひとりの特性に応じた学びを実現する、「個別最適化学習」とは
この記事のポイント
- 文部科学省が「Society5.0に向けた人材育成」で、スタディ・ログ蓄積・活用に言及
- 教員の経験則を補うスタディ・ログに基づく個別最適化された指導が注目
- 単元・期末テストの結果をAI的に分析、復習教材で個別化
2017年より文部科学大臣を中心に議論が進められてきた「Society 5.0」における人材像、学校や学びの在り方、今後の教育政策の方向性等が、2018年6月『Society 5.0に向けた人材育成』というタイトルで公開されました。
資料では、Society 5.0において、「共通して求められる力」と「新たな社会を牽引する人材像」が定義され、そのような人材をはぐくむための政策の方向性も示されました。その方策の鍵とされているのは、資料内で複数回言及されているスタディ・ログ(子どもたちの学習記録データ)です。
子どもの学習の理解度は小学4年生ころから差が出始め、中学に入ると授業についていけなくなる子どもが出てくるといわれています。こうしたつまずきを防ぐ意味でも、学習記録データに基づいた、子どもの習熟度や学びの特性の把握と、それを踏まえた個に応じた学びが求められています。
本コラムでは、教育現場の実情と課題に応えた一人ひとりの特性に応じた学びへの注目と、これを可能にする個別最適化サービスについてご紹介します。
教育現場の実情と課題
現在の教育現場では、学習計画をたてて、それを実行・評価・改善につなげるというPDCAサイクルが一般的に行われています。このプロセスにおける大きな課題としてよく聞かれるのは、C(児童生徒の学習状況のチェック)の部分が、どうしても先生の経験に頼ることが多くなってしまう(情報が十分に集められ、分析される状況にない)という点です。
さらに、昨今では多くの学校において経験豊富な教員の大量退職も進み、若手教員への指導技術の継承が困難になるという問題も顕在化しつつあります。この問題を解決する意味でも、教員の経験則を補うものとして、スタディ・ログに基づく個別最適化された指導が注目を集めています。
児童生徒の学習状況を判断する材料が可視化されることで、教員はより自信を持って指導を行うことができます。児童生徒への指導内容について、保護者に説明する際の説得力も増します。
DNPの個別最適化学習支援サービス
DNPでは、上述のような背景も踏まえ、個別に最適化した学習の取り組みを支援するサービスを提供しています。
リアテンダント
は、小・中・高校で日々実施しているテスト・ドリル(タブレットや紙を使って行ったもの)から、スタディ・ログを効率的に収集でき、先生方の時間創出の実現を目指すものです。
また、スタディ・ログの分析結果を分かりやすい形で「見える化」することが可能。問題ごとの正答率だけでなく、誤答類型(間違え方のパターン)を分析することで、先生方はクラスや個人ごとの迅速な状況把握ができるようになります。
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リアテンダント
では、テストの結果に対して一人ひとりの「個人カルテ」が発行されます。個人カルテではすべての問題の正誤状況や前後のテストの比較、どの観点の設問で誤答が多いかなど、先生方が必要とする情報を把握することができます。
さらに、分析結果をもとに児童生徒の能力や特性に応じた復習、発展学習教材を、紙・デジタル・動画・アプリなど学びやすい形で提供することができます。
DNPから個別の復習教材を学校ごとに配送することもできるので、先生にプリントする手間をかけず一人ひとりの指導につなげることができます。