株式会社クレディセゾン様

「DNP決済データへの加盟店情報付加サービス」による加盟店のクレンジングで、お客さまごとに最適化した情報のスピーディーなメール配信が可能に

株式会社クレディセゾン様では、カード会員の属性データやカード利用データ、ネットサービスの利用データなどを統合管理し、ネット会員向けに最適化された情報配信を行うセゾンCDP(Customer Data Platform)を2018年3月から発足させるにあたり、カード利用時の利用加盟店データの取扱いが課題となっていました。セゾンCDPから個々のカード会員に最適化した情報をスピーディーに配信するためには、経由する加盟店管理会社ごとに異なる決済データの加盟店名の表記からマーケティングに必要なカテゴリ情報などを付与する必要がありました。

今回はクレンジングのために導入した「DNP決済データへの加盟店情報付加サービス」について、株式会社クレディセゾン デジタルイノベーション事業部データビジネス部 牧野 和子氏、磯野 大介氏に、導入の目的と効果について伺いました。

複数の加盟店表記がデータ抽出の障害に

「DNP決済データへの加盟店情報付加サービス(以下本サービス)」導入前の課題について教えてください。

株式会社クレディセゾン
デジタルイノベーション事業部データビジネス部
牧野 和子氏

カード決済の多くは、クレジットカード会社もしくは決済代行会社などを経由して当社に決済データが届きます。ところが、同じ加盟店でカードを使ったとしても、クレジットカード会社や決済代行会社ごとに登録されている加盟店名が異なります。例えば、仮に“大日本ネットショップ”という加盟店があった場合、経由する会社が異なると、大日本Netshop、大日本netshop、大日本NETSHOP、大日本NETショップといった具合にバラバラの表記で当社に届くことになります。

問題になるのは、“大日本ネットショップ”を正確かつスピーディーに抽出できないこと。複数の表記があるため、曖昧検索を重ねて抜き出すわけですが、余計なデータまで検索されてしまうことも少なくありません。「データの中身を確認し、該当するデータを残し不要なデータをデリートする」といったプログラムを組まなければならず、非常に時間を必要とする作業となります。

“大日本ネットショップ”を正確かつスピーディーに抽出できれば、そこで販売されている商品やサービスと同等の購入履歴があるお客さまを分析しカテゴリ化することで、あるカテゴリに興味のありそうなクラスタを作成し、関連する情報をタイムリーに提供することができます。しかし、抽出に時間がかかってしまうと、鮮度が落ちて魅力は半減してしまいます。こうした加盟店の抽出問題は、セゾンCDP発足以前からの長年の悩みでした。

そこで今回、セゾンCDP発足を機に加盟店データの会社名、ブランド名、カテゴリなどを統一表記で分類するクレンジングサービスを利用する運びになりました。もちろん、カード会員さまの個人情報はクレンジングの対象外。個人情報を外部に渡すことはありません。

10万件のサンプルデータを使って期間・品質の観点で選定

クレンジングの依頼先はどのように選定されたのですか?

株式会社クレディセゾン
デジタルイノベーション事業部データビジネス部
磯野 大介氏

2017年秋、クレンジングサービスの提供に手を挙げていただいた5社を選定。そこから1社を選定するため、10万件のサンプルデータを用意し「期間・品質(精度の高いクレンジング)・低コスト」を要件にテストを実施しました。
10万件のデータ量は手作業では無理な件数で、なんらかのロジックが必要になるでしょう。しかし、本番では10万件という件数では終わりません。これでギブアップする場合は、無理ということです。また、前述の課題でも挙げた通り、クレンジングはスピーディーさが第一。1カ月以上の時間を要する会社は、見送りとさせていただきました。

DNPを選定した理由をお聞かせください。

サンプルデータのテスト結果と、これまで対応いただいた実績を加味し、DNPにクレンジングサービスを依頼しました。

期間・品質ともに満足できるテスト結果

期間は実質2週間と考えていましたが、DNPは2週間よりも早く真っ先にアップしていただきました。品質に関しては、大・中・小のカテゴリは必須というリクエストに対し、これもDNPはクリア。しかも、ブランド名や会社名まで正確に名寄せができていました。当時、当社のデータベースは会社名やブランド名での集計をするには手間がかかっていましたから、お戻しいただいたDNPのデータを見て「これならスピーディーに対応できる」という感想を持ちました。

システムと体制の両面で高いセキュリティ

DNPとは1990年代から長年のお付き合いがあります。そうしたなか、DNPのセキュリティに対する取組みを見てきていますので信頼感があります。今回のクレンジングの対象は個人情報ではありませんが、事故にあってデータが外に漏れてしまうのは万が一にもあってはならないこと。その点、システムと体制の両面でセキュリティが整備されているDNPには、安心してデータをお渡しすることができます。
本サービスは他社展開を見越した汎用的なサービスとして開発していただいています。

他社が本サービスを利用することに抵抗はなかったのですか?

当社としては、クレンジングが競争領域ではありません。大事なのは「クレンジングされたデータの有効活用」です。そういう意味では、他社展開によってより多くの会社に本サービスを活用いただき、データベースの精度が向上していくスタイルが好都合。サービスの精度やスピードがさらに高まります。他社展開は、みんなが幸せになると考えています。

クレンジングデータをカード利用の活性化と広告観点で利用

2018年3月から本稼働している「DNP決済データへの加盟店情報付加サービス(以下本サービス)」の業務フローを教えてください。

個人情報を除いた加盟店データを当社のサーバーにアップし、DNPがその加盟店データをダウンロードしてクレンジングを行います。クレンジングが終わった加盟店データは、DNP側から当社のサーバーにアップしていただくという業務フローになります。

現在、御社では本サービスによるクレンジングデータをどのように活用していますか?

「カード利用活性化」「広告観点の利用」において、お客さまをクラスタ化する要素のひとつとして役立てています。例えば、お客さまのもとには日々多くのメールが届いているかと思います。そのなかで、不要な情報を送ってくる会社と認識されてしまえば、メール配信設定で「メール配信を受け取らない」にチェックされてしまいます。そうなると当社は接触機会を失ってしまいますから、絶対に避けなければなりません。つまり、いかに興味を持って開封してもらえるかが大事といえます。そのために当社は、以下のようにお客さまにマッチした情報、または興味を持っていただけそうな情報をセグメントしてメール配信しています。

カード利用活性化

お客さまのカード利用を活性化させる施策では、例えばリボ払いのお知らせなどが挙げられます。当社のマーケティングデータに基づき、リボ払いを上手に活用されているお客さまがよく利用する加盟店の傾向を割り出してクレンジングデータから抽出し、分析を行います。そうした加盟店を利用されている方や利用傾向の近い方をセグメントしてリボ払いの情報をお知らせすることができます。

また、ネットでのショッピングの際にセゾンポイントモールを経由すると永久不滅ポイントがたくさん貯まるサービスのお知らせにおいても、クレンジングデータが役立っています。ネットショッピングを利用されていない方に案内しても意味がありませんから、ネットショップの抽出にクレンジングデータは欠かせません。

広告観点の利用

広告においても、必要とされている方をセグメントして送信できます。例えば、健康食品であれば、健康食品を販売している加盟店での購入実績がある方を対象にメールを送信することができます。お客さまにとってタイムリーな情報ですから、広告主の興味も高まっています。

スピーディーなクレンジング・利用する度に精度が向上

本サービス導入後、どのように評価していますか?

今回はセゾンCDPという新たな試みのなかで本サービスを活用しているため、多くの部分で比較はできません。そのうえで、当社は以下の点で高い評価をしています。

スピーディーなクレンジング

テストでは問題はなかったものの、本番ではより多くのデータをお渡しすることになります。そうした大量のデータを本当に予定通りにクレンジングできるか不安がありましたが、まったく問題ありませんでした。

利用するごとに精度がアップ

「大きな店だけでなく中小の加盟店も分類できないか」「もっとこのカテゴリを充実してほしい」など、利用していくなかでのオーダーもあります。こうしたオーダーに応えていただいているおかげで、精度がアップしている実感があります。

業務の効率化・コスト削減

以前は、データ抽出などは外部のパートナーに手伝ってもらうこともありましたが、本サービス導入後は不要になりました。この部分は完全に削減できていますから、業務の効率化が図れているといえます。

システムの負担減

本サービス導入後はお客さまのセグメントがスピーディーにできるようになり、効率的なメール配信や紙DMの送付が可能になりました。結果として、システムへの負担も軽減できています。

広告事業の拡大

データ抽出の時間が速くなりセグメント化までの日数が短縮され、数日でデータ配信ができるようになったため、Web広告代理店などのパートナー企業が増えています。今後は広告事業も積極的に展開にしていこうと考えています。

活用ツールがない場合はDNPのデジタルマーケティングに注目

本サービスの先行ユーザーとして、ぜひアドバイスをお願いします。

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株式会社クレディセゾン
デジタルイノベーション事業部データビジネス部 の皆さま

クレンジング後のデータについて、当社は明確な活用方法がありました。しかし、クレンジングに興味はあっても、その先の活用にあたっては「ツールがない」「知見がない」といった課題を持つ企業様が少なくないと思います。
DNPはデジタルマーケティングも提供していると伺っています。MAを活用するにしても、シナリオづくりや設計といったバックグラウンドも必要になりますから、「DNP決済データへの加盟店情報付加サービス」導入の際には、DNPにデジタルマーケティングをあわせた提案をお願いすると良いかもしれません。

最後に、DNPに対する期待をお願いします。

大手飲食店のクレンジングはほぼ終わっていますが、地方のチェーン店などは十分とはいえません。病院のカード決済も増加していますから、医療機関のクレンジングも必要になるでしょう。従いまして、クレンジングの精度の向上は、これからも継続的にお願いしたいところです。

クレンジングしたデータとその他情報をかけ合わせて、将来のライフステージを予測するなど、今後もさまざまな施策ができると考えています。しかし、まだまだ手探りの部分もあるため、予定通りとはいえない面もあります。DNPには当社の課題をキャッチアップし、価値ある提案を期待しています。

また、広告に関しては、代理店としてDNPに営業活動をしていただいています。DNPが持つ幅広いコネクションは大変魅力で当社としても期待大。あらゆる面でDNPのサポートは不可欠ですので、これからもよろしくお願いします。

株式会社クレディセゾン様

「サービス先端企業」を経営理念に、顧客の利便性を徹底的に追求し、系列や業態などの枠組みを超えた多様な提携パートナーとともに革新的なサービスを展開。コア事業となるカードビジネスでは、クレジットカードやプリペイドカードはもちろん、モバイル決済をはじめとしたカードレス決済スキーム構築に取り組み、安心・安全・便利なキャッシュレス社会の実現に取り組んでいます。また、ファイナンスビジネス、ソリューションビジネス、コンテンツビジネス、アジアでのビジネス、資産運用ビジネスといった分野にもビジネスを拡大しています。
社名:株式会社クレディセゾン
設立:1951年5月
本社:〒170-6073 東京都豊島区東池袋3-1-1 サンシャイン60・52F
資本金:759億2900万円
営業内容:クレジットサービス・リース・ファイナンス・不動産関連ほか
従業員数:3,297名

※2019年6月時点の情報です。

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