文化財の保存と次世代への継承

超高精細デジタルアーカイブ

博物館・美術館、地域が所有する文化財は、自然災害や人災のみならず日常の中でさまざまな劣化のリスクにさらされています。現代に至るまで受け継がれてきた貴重な文化財の価値は、後世まで時代を超えて継承されることが求められており、それにこたえる手段として超高精細撮影によるデジタルアーカイブ技術があります。DNPでは国宝や重要文化財を含む多数の文化財の超高精細撮影と、忠実な画像データ化を手掛けています。

DNPデジタルアーカイブ_ソリューション_超高精細撮影

現地調査~撮像~画像修整の流れ

①現地調査と基本設計

文化財に精通した専門職が文化財の忠実な画像データ化にとりかかる前に、原本の状態や周辺環境などを現地で調査します。
原本のサイズ・形態・技法・保管状況、作業スペース・動線・照明環境などを確認し、画像データの目的や用途に応じて監修者の必要性、撮像方法・画像修整方法の適切性などについて協議します。このような調査を踏まえ、撮像から画像修整までの工程内容・時間・費用などの最適な作業計画を設計・構築します。

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②撮像

原本を高精細に撮像する方法には、スキャニング方式とデジタルカメラ方式の2種類があります。
スキャニング方式は非接触構造、補助照明は紫外線や熱を出さないLEDタイプを使用するなど原本を損傷させないよう細心の注意を払い、あらゆる予防策を講じて作業にかかります。基本的にはスキャニング方式で撮像しますが、原本のサイズが小さい場合、壁画のように設置場所から移動が不可能な場合、複数のアングルや照明条件で画像データを残す必要がある場合などはデジタルカメラ方式を採用します。

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スキャニング方式

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デジタルカメラ方式

③画像修整

撮像で取得した高精細な画像データは、カラー・マネジメント・システム(CMS)によってデータ修整し、適切な色相・濃淡・階調で作者の筆致・筆勢などを再現します。
目的や用途に応じて、監修者・文化財所有者の確認を得て文化財の破損・劣化箇所を画像修整し、監修者が想定する原本完成当初の状態を復元するケースもあります。

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超高精細画像の活用

文化財の画像データを、原寸で忠実に再現できる品質で後世に遺すことには大きな意義があります。
デジタルアーカイブとして教育分野や研究分野など多方面に活用できるだけでなく、この画像データから製作された精緻な複製は、原本は収蔵庫で適切に保存しながらも鑑賞や公開は継続できるという「文化財の保存と公開の両立」に寄与します。

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高精細デジタルアーカイブ技術を結集して開発しました。 障壁画・屏風・掛軸などの文化財に対応可能で、 精緻な再現性と耐久性を両立させた文化財複製です。金箔上に直接印刷する特許技術を有し、金地作品も忠実に再現します。

立体的な形状の文化財に対して、再現性の高い3Dデータ作成とアーカイブ化のサービスを提供します。長年のデジタルアーカイブ化の取組みで培った高精細撮影ノウハウ、カラーマネジメント技術等を有しています。

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