アサヒグループジャパン株式会社様、アサヒグループ財団様

アサヒグループ大山崎山荘美術館コンセプト策定・合意形成ワークショップ

アサヒビール大山崎山荘美術館は2023年7月、アサヒグループ大山崎山荘美術館に名称が変更されました。この名称変更に先立って行われた美術館のコンセプトの見直しにDNPも参画し、ワークショップを通じて美術館の10年後を見据えたコンセプトと、それに向けた施策検討を行いました。 (2024年2月時点の情報です)

背景

アサヒグループ大山崎山荘美術館は京都府にある美術館で、展示はもちろんのこと、歴史ある建物や庭園も大きな特徴となっています。
2022年、美術館のコンセプト見直しにあたり、館長や学芸員、広報など普段仕事をしている場所や美術館との関わり方も異なるさまざまな関係者がいる中で、全員の意識合わせをしながら新しいコンセプトへの合意形成をしていくことが難しい、という課題がありました。そこでDNPとして、10年後の美術館のありたい姿を共創ワークショップで描くことを提案し、実施に至りました。

アサヒグループ大山崎山荘美術館(ホームページより)

プロセス

ワークショップ実施にあたり、関係者の皆様へのヒアリングをはじめとした事前準備を行いました。

■価値観のヒアリング
現場スタッフの方へのヒアリングでは現場として大事にしている価値観をひもとくところからはじめました。日常的に行われている業務内容に加え、業務で大切にしていることや、美術館への想いをお伺いしました。

■関係者の把握
多岐にわたる関係者を把握するためステークホルダーマップを作成しました。

■外部の意見や事例の調査
ワークショップで議論する際、参加者の視点だけでなく来場者や他の美術館の視点も入れられるよう、来館者アンケートの確認、他美術館の取組み調査も合わせて行いました。

これらをふまえ、2022年7月ワークショップを美術館内にある山手館で実施しました。

ワークショップのステップ

1.やるべきこと、できることの認識合わせ
参加者が共通理解を持つため、ヒアリング結果をベースに大山崎山荘美術館としてできること(Can)、やるべきこと(Must)を整理しました。

2.やりたいことのキーワード抽出
これからやりたいこと(Will)の共通イメージを持つため、さまざまな美術館の事例から真似したいところ、真似したくないところを挙げ、キーワードを抽出しました。

3.コンセプト案の見直し
Will、Can、Mustで出したキーワードをもとに、ベースとなるコンセプト文案を「美術館の何を活かして、どうなっていきたいのか」の視点で見直しました。

Will、Can、Mustと、ありたい姿の関係性

4. 実現に向けた課題整理
コンセプトで表現する「ありたい姿」と現状の間にはギャップが存在します。そのギャップ(=課題)を起点に、デザインツールのチャレンジマップを使って上位の目的や、下位にひもづく課題をマッピングしながら整理。特に解決しなければいけない課題を特定しました。

5. 解決策発案
美術館やアサヒグループの資産をヒントに、課題を解決するアイデアを発想しました。

6. ロードマップ作成
発想したアイデアや現場の皆さんが考案していた施策を、実現の難易度と実現可能な時期を軸にマッピング。ロードマップとしてまとめました。

チャレンジマップを活用したワークショップの様子

結果

最終的には3チームで検討した案を集約し、コンセプトとロードマップの策定を行いました。
コンセプトはアサヒグループ大山崎山荘美術館のホームページにて公開されています。

本プロジェクトを通じて、美術館にさまざまな立場で関わる方同士が、美術館に対する想いや自分たちの果たすべき役割を議論する機会が生まれました。お互いの認識を共有し意見を出しあうことで、全員の合意形成のもとに作成された、より美術館の魅力が強調されたコンセプト案となりました。加えて、ありたい姿の実現に向けた課題の整理を行ったことで、中長期的な視点を持ったロードマップの策定ができました。

関連ページ

DNPではサービスデザイン・ラボという組織を編成し、人起点で商品やサービスの新たな体験価値を創造し、
それを継続的に提供するための組織や仕組みも含めてデザインする方法論「サービスデザイン」を推進しています。

未来のあたりまえをつくる。®