円覚寺 様

【高精細複製】円覚寺 掛軸五幅

原本のうちいくつかは色彩の経年変化が大きく、何が描かれているか不鮮明なものもありました(現状再製_画像参照)。そのため所蔵家・監修者と協議し、経年変化の風合は残しつつ色彩を明確にする方向での複製を行なうことにいたしました(標準再製_画像参照)。また、原本の基底材は絹本ですが、原本の絹目を専用和紙に再現する伝匠美の技術を評価して頂き、和紙ベースでの複製となりました。なお、この複製は円覚寺方丈にて公開されています。

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円覚寺(えんがくじ)とは

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神奈川県鎌倉市にある臨済宗円覚寺派大本山。正式名称は瑞鹿山円覚興聖禅寺(ずいろくさんえんがくこうしょうぜんじ)。鎌倉時代後半(1282年)、執権北条時宗が元寇の戦没者を敵味方平等に弔うため創建されました。開山は、時宗が招聘した無学祖元。その法脈は室町時代に日本の禅の中心的存在となり、 五山文学や室町文化に大きな影響を与えました。室町時代から江戸時代にかけて、いくたびかの火災に遭い、衰微したこともありましたが、江戸時代後期(天明年間)に大用国師(だいゆうこくし)が僧堂・山門等の伽藍を復興され、今日の円覚寺の基礎を築かれました。 明治時代以降、今北洪川(いまきたこうせん)老師・釈宗演(しゃくそうえん)老師のもとに雲水や居士が参集し、多くの人材を輩出しました。今日の静寂な伽藍は、創建以来の七堂伽藍の形式を伝えており、現在もさまざまな坐禅会が行われています。

実施概要

原本

伝匠美

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左 現状再製 /右 標準再製

水官の礼拝

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十尊の羅漢が岩に腰かけています。視線の先には、雲から出現した水官の姿があります。水官とは、道教神である三官(天官、地官、水官)のうち一人です。笏(しゃく)を手にした水官は羅漢をうやうやしく礼拝しています。背後の黒雲には、連太鼓を背に撥(ばち)を手にした雷神や龍の姿も見えます。これは、水官が暴雨をつかさどる存在であるためです。羅漢のそばには、団扇を持った巻毛で褐色の肌をした異民族風の従者の姿もあります。

宝塔を運ぶ鬼

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羅漢の頭上を、岩を担いだ鬼たちが飛行しています。岩の上の宝塔が光を放っています。中に仏舎利(釈尊の遺骨)がこめられているからです。この場面はインドのアショカ王(阿育王)の説話に由来します。アショカ王は鬼を使役し、諸国の仏舎利を集めて細かく砕き、八万四千塔を造りました。本図に描かれている塔は呉越国の最後の国王である銭弘淑(せんこうしゅく)(929~988)がアショカ王の先例にならい領内に安置した阿育王塔に似ています。このような塔が日本に伝わり、宝篋印塔(ほうきょういんとう)の原型となったといわれています。

虎の歯磨き

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岩に座具を敷いて腰かける羅漢を中心に、羅漢たちが集まっています。岩のかげから少し遅れて二尊の羅漢がやってきます。その後方を、甲冑(かっちゅう)をつけた神将形(しんしょうぎょう)が注意深く護衛しています。画面の手前には、虎の口を開けて棒を使って歯磨きをしている羅漢が描かれています。羅漢は獅子や虎のような獰猛な生き物を手なずけることができます。歯磨きをされている虎は、猫のようにおとなしくしています。

観音像の礼拝

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寺院の階段の下に羅漢が集まっています。長い矢筈(やはず)を従者にもたせ、掛軸を広げています。水辺の岩座に腰掛ける水月観音(百衣観音)の水墨画です。羅漢たちは数珠を手にし、両手を合わせて画像を礼拝する所作をしています。その一方で、絵を品評しているような、どこかリラックスした雰囲気もあります。絵が良く見えるように、暗いお堂から野外に出てきたところなのかもしれません。羅漢の頭上には幹がねじれた柏槇(びゃくしん)とみられる樹木が描かれています。

羅漢の入浴

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童子が太鼓をたたき、入浴の時を知らせると、その合図で、羅漢たちが浴室に集まってきました。鬼に荷物を持たせる羅漢もいます。脱いだ草履があるので、すでに入浴中の羅漢がいるようです。蓮華の花瓶は、浴室の本尊である跋陀婆羅像(ばっだばらぞう)に供えられたものでしょうか。卓上に入浴後の喫茶の準備が整えられています。戒律を守り、集団生活をおくる僧院では、入浴や喫茶も修行として位置づけられています。禅宗寺院では、浴室は七堂伽藍の一つに数えられています。本幅は、中国画をもとに日本で制作されたものです。

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