DNP研究開発部門
新しいセンシングデバイスの新規サービス創出事例
DNPではサービスデザイン・ラボを編成し、人起点で商品やサービスの新たな体験価値を創出し、それを継続的に提供するための組織や仕組みも含めてデザインする方法論「サービスデザイン」を推進しています。今回は、DNPの研究開発部門で開発した、伸縮しても断線しにくいセンシングデバイス「伸縮変形性シートセンサー」を活用し、新たな用途を探索するプロジェクトにてアイデアを発想しました。(2023年9月時点の情報です)
取組み
伸縮変形性シートセンサーを使って、フィジカル空間の情報を取得する方法を考えることをめざしました。具体的には、シートセンサーの機能を活用した新しい機能を見つけるために、フィールドワークを行い、アイデアを考えました。また、プロトタイプを使って、その価値を検証しました。
制作物
アイデアの内容や価値を伝えるため、モックアップとコンセプト映像を作成しました。
① モックアップ
手袋の甲側に規則的にLEDライトを配置したデザイン検証用のコールドモック。
② コンセプト映像
Stretchable Cognitive Gloveのさまざまな活用シーンを伝えるイメージ映像。
プロセス
STEP1
技術ヒアリング/新機能発掘
ヒアリングを通じて伸縮変形性シートセンサーならではの特長を抽出しました。伸縮性のある基盤だからこその「動きがあるものでもぴったりくっつく」「衝撃を受けるものでもこわれない」などの特長と、基盤に乗せることができるさまざまなセンサーの組合せから、アイデア発想に使う新しい機能を発掘しました。
STEP2
アイデア発想WS
幅広い年代で楽しむことができ、健康にもつながることから、「スポーツ」をテーマに伸縮変形性シートセンサーを活用したアイデアを発想するワークショップを実施しました。
スポーツは元々競争と遊戯性を持つ運動競技のこと。遊戯性の要素を発見するためショッピングモールへのフィールドワークで調査し、既存のスポーツにとらわれない新しいスポーツのアイデアを発想しました。 そして、既存のスポーツや考案した新しいスポーツと、伸縮変形性シートセンサーの特長を掛け合わせアイデアを発想しました。
半日のWSで61件の伸縮変形性シートセンサーを活用したスポーツアイデアが生まれました。
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STEP3
アイデア拡張WS
アイデア発想のワークショップで出たアイデアを、実現可能性の観点から選びました。そして、伸縮変形性シートセンサーを使ったコアな使い方が共通するアイデアをグループ化しました。さらに、具体的で広範な用途を考えるために、ボールの表面を覆ったり、グリップに巻きつけるなどのコアな使い方と既存のスポーツを組み合わせて、追加のアイデアを考えました。その結果、伸縮変形性シートセンサーをグローブの形にすることで、スポーツの上達につながるアイデアが生まれました。
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STEP4
価値検証WS
グローブ型の伸縮変形性シートセンサーの価値を確かめるため、スポーツ経験者と一緒に実際のスポーツ施設で検証を行いました。厚さや滑りやすさの異なる手袋をプロトタイプとして用意し、センシングしたデータの表示イメージを紙に書いて使用しました。さまざまなスポーツで検証を行いました。
その結果、まだ技術的な改善が必要な点があるものの、手にグローブをはめたまま快適にスポーツを行うことはできました。さらに、言葉では伝えきれない手の動きや感覚の情報を取得し、視覚的に表示するというコンセプトの価値を確かめることができました。
STEP5
ストーリー精緻化WS
グローブ型の伸縮変形性シートセンサーのコンセプトが、多くの人に共感されるようにするために、スポーツだけでなくさまざまな用途についてイメージ映像を制作しました。例えば、すし職人やピアノ演奏など、伸縮変形性シートセンサーをどのように活用するか、それによってどんなストーリーができるか、どのストーリーを特に際立たせるべきかを検討しました。
結果
アイデアをモックアップや映像とすることで、議論に参加していない人にもアイデアの魅力が伝わり、アイデアの実現に向けた研究活動につなげることができました。
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それを継続的に提供するための組織や仕組みも含めてデザインする方法論「サービスデザイン」を推進しています。
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