株式会社日立製作所×羽後交通株式会社
田沢湖周遊バスのキャッシュレス化に向けたデジタル乗車体験およびアプリケーションUIのデザイン
日立製作所様 と羽後交通様が連携し、地方バス交通のキャッシュレス化にむけたプロジェクトが発足しました。サービスデザイン・ラボ®では、上記プロジェクトのうち「観光客向けバスチケット(秋田県田沢湖周遊券)のチケットレス化」を対象とし、田沢湖をモデルケースに、地方交通事業者のキャッシュレス化における最適なUXやプロダクトUIを検討することを目的としたサービスデザインプロジェクトを実施しました。(2020年2月時点の情報です)
取り組み
本プロジェクトに合ったプロセスをデザインし、大きく以下の3ステップで取り組みました。
STEP1.フィールドワーク
秋田県田沢湖にチームメンバーで赴き、観光客(日本人&インバウンド)や、バス事業者である羽後交通様の窓口業務やドライバーの方を観察しその実態を把握、インサイトを発掘しました。
STEP2.田沢湖周遊バスのチケットレス観光体験&アプリUIデザインワークショップ
フィールドワークで得た田沢湖観光に関わるステークホルダーのインサイトをもとに、ワークショップ形式(2Days)にて、全てのステークホルダーが満足する理想的な周遊観光体験をデザイン。体験を実現するアプリケーションUIスケッチを設計し、プロトタイプ開発を行いました。
STEP3.チケットレス周遊体験による、未来の地方観光のビジョン創造ワークショップ
STEP2で描いた「理想的な周遊観光体験とアプリケーションUI」の水平展開をイメージしながら、地方バス交通のキャッシュレス化による未来の地方観光のビジョンを創造するワークショップを行いました。
成果
設定課題とコンセプト
地方観光では、団体客を中心とした「定番ルートをなぞるような観光インフラの整備」が進んでいる一方、都市部や世界とくらべると「決済インフラの不便さ」「日本語以外の情報不足」が課題となっています。
もっと、近場にフラッと出かける「いつものお出かけ」みたいに、気軽に地方観光に来てほしい。
もっと、言葉の壁なく、常にワクワクしていられる旅を楽しんでほしい。
「お金」と「情報」の面から地方観光のプランニングを支援
し、
旅のワクワクを常に提供
できるキャッシュレスアプリの体験を創出しました。
制作物
- キャッシュレスアプリUX/UI(画面遷移図と画面スケッチ)
- サービスコンセプトプロトタイプ(コンセプトボード)
プロジェクト詳細
●STEP1|秋田県田沢湖でのフィールドワーク
プロジェクトメンバーで秋田県田沢湖に訪問し、平日と休日の2日間フィールドワークを行いました。あらかじめ想定した3つの主要ターゲット「日本人観光客」「インバウンド観光客」「事業者(羽後交通様従業員)」の視点で観察やインタビューを行います。
このあとのワークショップではターゲットの解像度が重要になります。観察やインタビューをもとにメモや写真を残しながら、ターゲットの心情や言動から痛み・欲求を読み解くための気づきをより深く調査・把握していきます。
調査結果は、STEP2のワークショップに備えてペルソナシートとしてまとめました。
|
●STEP2|Day1『インサイト発掘ワークショップ』
フィールドワークで得た洞察をもとに、ターゲットごとに作成したペルソナ像のペインジャーニーを描き、解像度を上げながらプロジェクトメンバー同士の理解を揃えました。
その上で、各ターゲットのインサイトを把握し、観光客側と事業者側のインサイトの重なる部分を、田沢湖における『理想的な周遊観光体験』を描く際の達成要件として設定しました。
|
|
●STEP2|Day2『UX/UI設計ワークショップ』
インサイトをもとに『解くべき問い』を設計し、『理想的な周遊観光体験』を叶えるキャッシュレスアプリのUX/UIのアイデア発想を進めます。「解くべき問いを叶える他ジャンルからのアナロジー」なども交えながら、バイアスなく自由で楽しいアイデアを引き出すワークに始まり、ジャストアイデアを組み合わせながらユーザー体験を表現するストーリーに仕立て、インサイトを達成するUXを創出。さらに、UXを叶える具体的なキャッシュレスアプリの画面遷移&UIを設計しました。
|
|
●STEP3|『価値拡張ワークショップ』(チケットレス周遊体験による、未来の地方観光のビジョン創造)
地域観光を担う交通事業者や自治体にとって、導入意義をより具体的に実感していただくことを目的に、STEP2までに考えたアプリケーションが地域観光課題に対して担える役割や可能性を探索し、ユースケース拡張を行いました。
成果は、「未来の地域観光におけるビジョン提唱」といった観点から、4つのコンセプト資料にまとめました。
|
|
今後の予定
日立製作所様にて取り組む、地方バス交通のキャッシュレス化事業における体験アイデアとしてさらなる価値検証・実装に進む予定です。
関連ページ
DNPではサービスデザイン・ラボという組織を編成し、人起点で商品やサービスの新たな体験価値を創造し、
それを継続的に提供するための組織や仕組みも含めてデザインする方法論「サービスデザイン」を推進しています。
※サービスデザイン・ラボは、DNP大日本印刷の登録商標です。