大日本印刷株式会社 マーケティング本部

社内に散在する商材を集約し、
商材や担当者の探索にかかっていた時間を大幅短縮
Contentserv(コンテントサーブ)を活用した「商材サーチ」構築のポイントに迫る!

営業からの要望に応えるため、社内に散在する商材情報を集約し一元管理するシステム「商材サーチ」をContentservで構築したDNPのマーケティング本部。その背景と導入効果などについて、マーケティング本部 マーケティングDXユニット 営業DX推進部に聞きました。
(2023年9月時点の情報です)

マーケティング本部 マーケティングDXユニット 営業DX推進部 越知 靖博

マーケティング本部の部門概要をお聞かせください。

マーケティング本部は、DNPの全事業部を横断するマーケティング部門です。そのなかでマーケティングDXユニットは、社外に発信するWebサイトやメールニュースなどの情報統括を行うほか、全事業部のデジタルマーケティングをサポート。SFA(Sales Force Automation)やMA(Marketing Automation)の基盤づくりや活用のサポートを行っています。

社内の商材、商材担当者の正確な情報がすぐに把握できない

「商材サーチ」を構築した背景をお聞かせください。

お客さまから課題の相談を受けた際、課題解決のための商材が自社にあることに気づかない、あるいは探索に時間がかかるなどで機会損失を招いていたことが背景です。元来DNPはお客さまに寄り添いながらご要望・ご指示を伺って印刷物を制作する受注請負型の営業スタイルでした。しかし、お客さまとのエンゲージメントが高まってくると、印刷に関連した領域はもちろん、印刷以外の領域においても業務課題のご相談をいただく場面が増えてきます。

例えば、印刷に関連したところでは「カタログ制作をもっとスピーディーに、そして手間をかけずに最新の情報や価格を掲載したい」、印刷以外のところでは「Webにも展開したい」などが挙げられます。おかげさまでDNPは、印刷(Printing)と情報(Information)の多様な技術を掛け合わせ、多くのパートナーとの連携を深めながら革新的な価値を提供していく事業ビジョン「P&Iイノベーション」の展開により、これまで多くの商材を創出してきました。つまり、お客さまの幅広い期待に応える商材やソリューションを提案することが可能な状況です。

ところが、お客さまの課題を持ち帰り、いざ課題解決に見合う商材を探そうとすると、社内の商材、商材担当者の正確な情報を把握するのに時間がかかることがありました。人づてでようやく商材と担当者にたどり着き、アポイントをとって打ち合わせや提案するための資料作成などに時間を費やすことで、お客さまをお待たせしてしまうことも少なくありませんでした。

社内には、DNPの取り組みや技術、商材などについて担当者を探してくれる相談室がありますが、その相談室にも、お客さまの課題を解決するための商材を探したい、または商材の担当者を探したい、といった問合わせが多く寄せられていました。
そこで、商材の最新情報を集約して一元化、いつでも営業が確認できる仕組みを構築することが解決の近道と判断しました。商材情報を管理するPIM(Product Information Management)システム、Contentservをプラットフォームに据えた「商材サーチ」の構築に至りました。

さまざまなPIMシステムのなかからContentservを選定

Contentserv以外の製品についても比較・検討はされましたか。

以下の要件をもとにさまざまなPIMシステムを比較・検討しました。

・データベース項目の編集や増減など、自由度の高い運用ができる
・社内LANのなかで商材を検索、閲覧ができる
・ユーザビリティが高く、特別な講習を受けなくても直感的に操作できる
・画像や販促資料など営業活動に有用なコンテンツを添付できる
・Excelのインポート/エクスポートに対応している
・APIでデータ連携できる
・スモールスタートで早期構築できる

これらの要件を総合的に判断して選定したのがContentservです。自社でも取り扱っており、お客さまにもご利用いただいているソリューションなので、サポート体制も含め安心感があったことも選定理由のひとつになりました。選定後は2021年に決裁を得て、「商材サーチ」という名称で2022年1月から本稼働しています。

わずか半年の開発期間で「商材サーチ」を構築

「商材サーチ」の構築プロセスをお聞かせください。

Contentservのクラウドサービスは、領域の区分やデータベースの項目、承認フローの設定など、さまざまなカスタマイズが可能です。そこで、まずはしっかりと要件定義に時間をかけ、その後、構築・テストと進めていきました。しかし、約半年という開発期間で、無事にContentservをベースとした「商材サーチ」をリリースすることができました。

「商材サーチ」のシステム概要は下図の通りです。

クラウドのデータベース(Contentserv)と、スクラッチ開発した検索・閲覧画面(Webブラウザベース)という構成で、この2つをAPIで連携しています。Contentservの商材情報データベースには、商材担当者が登録・編集を行います。登録した商材は、承認フローを介し上長から承認が得られれば公開となる仕組みです。公開された商材は、検索・閲覧画面を通じて全社員が閲覧することができます。なお、データベース項目の増減や名称変更などについては、マーケティング本部が運用を担当しています。

「商材サーチ」を社内に周知させるため、どのような啓発活動を行ったのでしょうか。

主要事業部ごとに個別の勉強会を開催し、「商材サーチ」の活用方法をレクチャーしました。また、社内サイネージやイントラネットのトップページでの告知や、社内展示会においてブースを設置するなど、全社的に周知させる啓発活動も行いました。

「商材サーチ」は全営業社員に認知されているシステム

現在の運用状況を教えてください。

現在の登録商材は約350。数字だけを見ると少ないと思うかもしれませんが、旧来からのオーダーメイドの印刷事業に関しては商材として登録しにくい面があります。つまり、「商材サーチ」の登録されている約350の商材は、商品名が付いた製品やサービスということになります。

「商材サーチ」にアクセスしたユニークユーザーは約5,000人です。営業部門の社員に関していえば、「アクセスしたことがある」あるいは『「商材サーチ」の存在は知っている』状況です。また、商材詳細ページの表示回数は約20,000回。1商材あたりの表示回数は平均57回となっています。認知度は高まっていますから、今後はさらに活用頻度も上がっていくと考えています。

6割ぐらいが商談化、前向きな検討も

「商材サーチ」の導入効果をお聞かせください。

商材や担当者の探索にかかっていた時間を、どの程度まで短縮できたかまでは定量化できていませんが、大幅に短縮できているのは間違いありません。もちろん、お客さまの課題を把握してから商材を提案するまでのリードタイムも短縮されています。

しかも、約6割が商談化しているとのこと(「商材サーチ」を使って商材を検索して商談化にたどり着いた割合についてアンケートを実施)。「導入に向けて検討してもらっている」「受注に向けて話をしている」など、前向きな検討も多くみられました。「商材サーチ」は課題にマッチした商材を素早く検索できるため、それが商談化につながっているととらえることができると思います。

営業とは別に、本社部門の活用も目立っています。これまで本社部門は、IR活動や社内報作成、リクルート資料の作成などを行う場合、いくつかの事業部にアポイントを取り、活動の取り組みや取り扱っている商材などをヒアリングした上でコンテンツを選定していました。しかし現在は、「商材サーチ」で検索すれば事前に調査できます。ピンポイントで事業部や商材を選定できるため、ヒアリング工数の削減に役立っているようです。
こうした「俯瞰性」や「一覧性」も導入効果のひとつと考えています。

一方で、商材や商材に関する情報をもっと増やしてほしい、常に最新の情報を提供してほしい、という声も聞こえてきます。こうした意見は、「商材サーチ」の仕組みが評価されているからこそととらえることもできるのですが、真摯に受け止めなければなりません。引き続き、商材担当者に「商材サーチ」に登録している情報の拡充を促す活動を行っていきたいと考えています。

商材として定義できるものは分け隔てなく登録できる

「商材サーチ」の評価ポイントをお聞かせください。

「商材サーチ」を管轄するマーケティング本部では、ユーザビリティを高く評価しています。選定時の要件にも挙げていましたが、データベース項目の増減や名称変更などを柔軟に設定できるのは非常に利便性が高いと思います。

また、商材情報の管理に徹している点にも使い勝手の良さを感じています。パッケージ化された商材として定義できるものであれば、分け隔てなく登録が可能。きっちり形になっていなくても、コンサルティングサービスやノウハウだけでも、営業に知ってほしい商材であれば何でも登録することができます。

Contentservに商材情報を集約すれば省力化、省人化も可能

最後に「商材サーチ」のベースとなっているContentservはどんな企業におすすめしたいですか。

SKU(Stock Keeping Unit)の多いメーカーはもちろん、商材数が少ない企業でも、事業部門が分かれていたり、新たなビジネス領域を模索していたりすると、社内にあるすべての商材に精通した人材を育成するのは難しくなります。情報を常にアップデートしていくことが必要なので、商材情報を一元的に管理するデータベースは省力化、省人化の効果を生みます。
とはいえ直接的、定量的な受注貢献度を測れるものでもありませんので、まず小さく、早く作ってみる、微調整を繰り返しながら発展させていく、とお考えの企業にはContentservをおすすめしたいですね。

この事例で導入した製品・サービスについて

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