サービスデザイン手法を用いたサービスモデル創出
子ども向けAIデバイス「魔法のような虫めがね」の事業化支援プロジェクト
DNPとそのグループ会社のDNPデジタルソリューションズ(DDS)でGoogle Cloud™ のAI・機械学習サービス等を活用したAI プロダクト開発のハッカソンを開催。
この取組みから「虫めがね型のAIデバイスで子どもが興味や関心のあるものをかざし、発見し、知る」というアイデアが生まれました。
(2022年4月時点の情報です)
プロトタイプ紹介動画
動画:絵本から音が飛び出す「魔法のような虫めがね」プロトタイプ版を開発(57秒)
背景と目的
2020年2月から、DNPとそのグループ会社でシステムインテグレーション等の事業を行う株式会社DNPデジタルソリューションズ(DDS)でGoogle Cloud™(※) のAI・機械学習サービスなどを活用した、AI プロダクトを開発するためのハッカソンを開催してきました。その中で、子育て中のエンジニアがAIによって子どもの可能性を伸ばすことができないのか?と考えたことがきっかけとなり、「虫めがね型のAIデバイスで子どもが興味や関心のあるものにかざし、発見し、知る」というアイデアが生まれました。エンジニアたちの発案で、プロジェクトが立ち上がり、事業化をめざしている点が、大きな特徴です。
「子どもの興味関心をAIで分析し、子どもの可能性を最大化する」あたりまえの未来の実現に向け、開発部門、営業部門のビジネスデザイン本部、サービスデザイン・ラボ®という社内の部門横断で取り組みました。社内の技術・知見を活かして統合する共創プロセスをとり、サービスモデル・ビジネスモデルを創出しました。
※Google Cloud™はgoogle llc の商標または登録商標です。
本デバイスの紹介
AIを搭載した専用の虫めがね型デバイスを本などにかざすと、文字・絵・写真・イラストなどをAIが認識し、その内容を音声や音楽で教えてくれる情報機器です。市販の絵本や図鑑などをそのまま利用することが可能です。
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本プロジェクトは、以下の4つのステップで進行しました。主なアクティビティは、半日開催の共創型ワークショップと毎週の定例会で実施し、サービスデザイン手法を用い各メンバーの知識や意思を統合しながら価値あるCXを実現するサービスコンセプト、サービスモデルを創出しました。
1.ユースケース発想
デバイスを子供がどういったシーンで、何にかざすと、どんな価値が生まれるのか、という視点で、共創でアイデア発想し、市場規模や実現性などをかんがみながら、アイデアを絞りました。
2.社内の営業職と生活者にヒアリングを実施
絞ったアイデアから3つの領域を選定し、その領域の企業を担当する営業職に、企業の抱える課題や実情について、ヒアリングを実施。また、教育に熱心な親/生活者についてもヒアリングを実施し、それらのヒアリング結果からアイデアをブラッシュアップしました。
3.体験価値(コンセプト)の創出
ブラッシュアップしたアイデアから、バリュープロポジションキャンパスを活用・作成し、子どもの興味関心ストーリーと、親の気づきのプロセスを具体化。「子ども興味関心をAIで分析し、子どもの可能性を最大化する」という、体験価値を明文化しました。
4.サービス・ビジネスモデル設計
サービスの流れとそれを実行するためのオペレーション、顧客と各ステークホルダー間での価値交換の流れを具体化し、実現性と継続性の伴ったサービス、ビジネスモデルを設計しました。
創出したユーザーストーリーの一例
対面を避けた、オンラインでのワークショップを開催しました。
(オンラインホワイトボードmiro活用)
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BabyTechTOUCHでの展示会・PoC実施
BabyTech TOUCHは、 DNPが展開する、ベビーテックのプロダクトやサービスの「体験」を提供するショールーミングイベントです。
第一弾では、「子育て総合支援企業」として出産・育児に寄り添ってきた赤ちゃん本舗と、国内のベビーテック市場を牽引するパパスマイルの3社協業で実施しました。
このイベントで本デバイスのプロトタイプを使用したPoCを実施し、約100組ほどの親子に、体験いただきました。
【設置箇所】 アカチャンホンポTOC店:店舗中央催事スペース
【実施期間】 2021年6月10日~7月9日
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DNPは、2020年8月よりベビーテック領域に参入し、育児・保育に関する課題解決のため、共創によるプロダクト・サービス開発の取組みを開始しました。ベビーテックの活用で、「安全・安心」「効率化」「楽しさ」をかなえる子育ての実現をめざします。
今後について
本プロジェクトは、本デバイスを活用した新しい読書体験の拡大、子どもの興味関心から子どもの可能性を最大限広げる、新しい体験価値の創出に向けて共創パートナーを募り、実証実験を繰り返しながら、事業化を推進する予定です。
また、子どもの興味関心データを収集することで、新しいデータビジネスを展開する構想についても、検討を進めます。
関連ページ
DNPではサービスデザイン・ラボという組織を編成し、人起点で商品やサービスの新たな体験価値を創造し、
それを継続的に提供するための組織や仕組みも含めてデザインする方法論「サービスデザイン」を推進しています。
※サービスデザイン・ラボは、DNP 大日本印刷の登録商標です。