有限会社富永設計建築事務所さま
建築家・富永恒太が語る、アートテック®の魅力
今回Cygames佐賀ビルの設計にDNP 内・外装焼付印刷アルミパネル アートテックをご採用くださいました建築家の富永恒太さまに、アートテックの魅力について語っていただいきました。
動画分数:13分54秒
2022年9月 インタビュー:DNP生活空間事業部
インタビュー
質問:初めに、富永さんの建築に対するお考えを聞かせてください
昨今、建築は非常に工業製品化されて、なおかつ無機質な箱モノ建築として出来上がっているものが、多く感じられます。大事なのは、建築家の感性とクライアントの視点、また、そこを使うユーザーの視点だと思っています。その中で作り上げられたものは人の心を動かしますし、また、街の顔も変えていきます。
特に実感したのは、サイゲームスさんのビルを作らせていただいた際に、建設現場の時から、竣工した時、そのときどきにSNS、Twitterで、すぐに画像などがたくさん上がってくる、私はそういう光景を初めて目の当たりにして、やはり建物というものが、人の心を動かしていく、街も動かしていくということを実感したのです。
そういう社会的な使命を持つような建物、あるいは個人の場合にはクライアントさんも然るべきなのですが、そういう方々に響く建築というものを求めて作っています。
質問:今回、サイゲームス佐賀ビルにアートテックをご採用いただきました。まず、建物の設計コンセプトを教えてください
まず背景として、サイゲームスさんの第1号ビルを社長の地元である佐賀県に作るということで、事業の拡大と、雇用を生んで佐賀県の発展に寄与していくということがスタートにありました。
その中で、企業のイメージを向上させると共に、街のシンボルになること、それと、若い社員の方々が多い企業でもありますので、若い人が「ここで働いてみたいな」と思うような、そんな建物を作るということをコンセプトに掲げています。
それは「都市の中に建築、オフィスビルを作っていく」ということでもありますので、建物・建築が持っている外観、また内観に対しては、人々の心を動かしていけるようなコンセプトを私は考えました。
質問:水平・垂直の構成美が印象的な建築物ですね
私は基本的にシンプルな建物が好きなのですが、組織でも学んできたことですけれど、過度な装飾をするのではなく、ものの伝え方はシンプルであるべきだと考えています。時代を超えていくものというのは、過度な装飾をしないものです。
私の中には、「コンポジション」という、キーワードがあります。それは究極、その比例がきれいであれば、ものとして美しく見える、それは建築に限らず、いろいろなものでも同じことが言えると思います。その中で、今回、建物全体の造形、また細部の造形については、コンポジションをいかに美しく見せるかというところで、建築設計をしています。
質問:アートテックをご採用いただいた理由をお聞かせください
佐賀は、歴史や文化、また、それに伴う景観というものが非常に美しい場所でもあります。駅前の敷地を見たときに、自然のマテリアルである「木」というものの柔らかさを、今回のオフィスビルの中に取り込みたいと言う意図があり、ただ、その木の生々しさを見せるのではなく、そこに企業のイメージ、先進的なこれからの企業に対する思い入れを建築で表現していくためには、プラスアルファのマテリアルが欲しいと思いました。
その中で「木」プラス企業のイメージ、先進性や品格、重厚感を併せ持った素材、そういうものを探しているときに、アートテックという素材に出会い、私のコンセプトに合うものでしたので、採用させていただいきました。
今回初めて使わせていただいた素材ということで、いろいろなところで、検証しなければいけないということもあり、ひとつは工場に行き、お施主さんと一緒に検証を重ねました。具体的にはアートテックの持つ木目、色彩が、五階建ての建物の軒裏から見えたときに、実際認識できるのかということや、光の当たり方によって色彩がどのように見えるかということです。工場の方にはいろいろとわがままを聞いていただいたのですが、サンプルをいくつか作り、実際に現場の方で見て、そこの中で最適な色彩、木目の大きさを決めて、採用させていただいきました。
質問:どのようにしてアートテックをお知りになりましたか?
やはり情報化社会の時代ですから、常に携帯とかウェブの中で、私も何か分からないものとか、探しているものがあると、すぐに携帯をいじってしまうのですが、携帯の中のウェブで、私はアートテックを知りました。
従来ですと、建材を選ぶのにカタログベースで見つけてくるという方法もあったのですが、ウェブで見つけてくるという中では、材料の持っている良さ、あるいはユーザー側がどういう反応をしているかが、画像や情報として入っているものですから、いろいろな意見、使われ方をされているものを、ウェブを通して知り、今回採用させていただいた経緯です。
質問:アートテックをご使用になられたご感想をお聞かせください
今回、私の中では、「アートテック一本で行こう」と。
一部に使う方法もあると思うのですが、あまり素材を増やすことは考えず、ひとつの素材で、ある意味オブジェのようにシンプルに建物を作ろうと思って、大々的に使わせていただきました。
建物が出来上ると、当初私が思っていた以上の効果を発揮して、高さが違う、また方向性も違う場所で、光のあたり方が変わると、全然違う表情に。特に夕方のマジックアワーと言われる時間には、オレンジ色から紫色に空が染まる時に、そういう光をアートテックが受けると、さらに面白い景観になると思っています。
アートテックの良さは、アルミと、木目が、お互い融合しているところにあると思います。今回、サイゲームスさんのビルは昼間の顔、夜の顔の二面性を併せ持つロケーションにあります。佐賀駅から近く、南側には佐賀本線が走っていますので駅からの景観もあります。さらに四面どこからでも見えるというところもあり、その中で、昼間は木目が光とともに浮き上がってきます。夜は光がここに入ると下地のアルミの良さが出てくるわけです。そうすると、木では表せないアルミ独特の光の反射と、表面の木目というものがあいまって、非常にドラマチックなオフィスビルとなり、街の中に溶け込むような景観が出来たのではないかと思っています。
質問:アートテックのどんなところに魅力を感じますか?
アートテックの良さは、写生ではなく、写実的な世界を描いているというところです。木を下地に貼る素材というものはたくさんあると思います。アートテックの良さは、やはり「木目でありながらアルミでもある」ことです。そういうものは、他社にはない、DNPさんが本来持つ印刷技術が叶えている素材であるというふうに思っています。
木目とアルミ、それぞれの持つ素材の良さというものがアートテックという製品で融合されています。お互いが喧嘩するわけではなく、主張するわけでない。そういうものが、私は自分の建築の意図を表現するにあたり最適な材料だと思いますし、下地が下地材で終わっていないところに非常に魅力を感じています。
食べ物でも一緒かもしれませんが、素材が判らなくなるような味付けはあまり好きではなくて。アートテックは素材を活かしながら、そこに重ねる味というものがシンプルで、お互いが喧嘩しない、そんな製品だと思います。
質問:環境課題と建築について
現在、地球の温暖化も含めて、気象条件が、経験したことのないような台風とか、風速風圧が設計の基準のスペックを越えてきています。それを意識すると、やはりどのように環境にやさしいものを作っていくかということは、大きいテーマだと思います。ただ、エコロジカルと建築というのは相反するものだと私は思っています。その中でできることは、例えば木材を使うことも、過度な装飾による木材を使用した建築というのは、木材以外のところでもいろいろなディテールが生まれてきて、これは本末転倒な話であると思っています。本当のエコロジカルに環境に配慮していくということは、やはり無駄がなく機能的なもの、そういうものが環境にやさしい建築なのかなというふうにも考えています。無駄がなくて機能的なものは一番美しく見えるものでもあると思っていて、材料を作っていく上でも、無駄がないものはコストも下がりますし、環境も意識していくようなものになっていくと思っています。
質問:今後のお仕事についてお聞かせください
現在は、アフリカでのプロジェクトも進めています。やはり日本が持っている技術、またそれに合わせて建物を構築していく技術を、日本に限らず世界に発信しながら、新たな世界をつくっていく、出来れば私はそういう仕事をしていきたいと思っています。機能にとらわれずに、「建築は何ができるか」、また「人に対してどういうものを提供していくことができるか」、それは医療施設であれ、オフィスであれ、住宅であれ、その機能にこだわらず、挑戦していけたらいいなと思っています。そういう考え方に共鳴をしていただけるようなクライアントさんがいらっしゃいましたら、私は今すぐにでも飛んでいくつもりです。
「アートテック」はDNP大日本印刷の登録商標です。